ここドラプラ商事では主に輸入雑貨を取り扱っている為、取引先の国の事情により決算がまちまちで、そのため経理部の人間は月末から月初にかけて毎月忙しくなるのが通例のことであった。
そんな月末の今日、祭日であるにも拘らず、いつものように経理のカルナラは、元気に休日出勤していました……。 「ふー、今月は月初まで持ち越さなくって済みそうだな、いつもこうだと助かるのに……」 カルナラは処理した伝票をまとめて持ち、机の上で角を整えるとため息を吐きながら独り言を呟いた。 かけていたメガネを外して目頭を片手で軽く揉み解し、目を閉じたまま椅子の背凭れに寄りかかって大きな伸びをした。 伸ばしたカルナラの両手が何かに当たった……。 「よっ、カルナラ。仕事終わった? なら悪いけど、これも頼むよ」 カルナラは驚いて伸びをしたままの体勢で目を開け、その手に触れた何かを確認した。 するとそこには満面の笑みでカルナラを見下ろしているフィズの姿があった。 彼は自分の体に当たったカルナラの腕を片手で掴んで、もう片方の手で持っている領収書の束を、カルナラの目の前でヒラヒラとさせている。 「またですか? 貴方はいつもそうやって私の仕事を増やす……」 悪びれもせず微笑みながら仕事を押し付けてくるフィズに対し、カルナラは椅子に座りなおして愚痴をこぼした。 「いいじゃん、同期の俺とお前の仲だし大目に見てよ」 フィズは営業2課に所属するカルナラの同期で、こうして締めの時期になると必ずと言っていいほど、山のように溜まっていた領収書を持って、カルナラの所へとやって来るのだ。 そんなフィズに対してカルナラは眉間に皺を寄せ、少し険しい表情をして見せた。 「何回も言ってるじゃないですか、領収書は溜めないでくれって……。どうしてこう毎回毎回同じことを繰り返すんです?」 「俺にだって事情ってもんがあるんだよ。聞いてくれよー、なぁ、カルナラ」 カルナラのその表情や態度を見て、彼の機嫌が悪いと悟ったフィズは慌てて弁解した。 しかし、カルナラは聞く耳を持たないとでも言うように冷たく言い放った。 「事情なんてどうせ、たいした理由じゃないんでしょ? いい加減きちんと出したらどうなんですか?」 カルナラの素っ気無い態度にフィズは思わず膨れっ面になり、口を尖らせ真剣な表情で弁解を続けた。 「そんな冷たいこと言うなよ。営業2課担当のリドウさん、厳しいんだぞ? 俺、先月半分くらい経費で落ちなくって自腹切ったんだから」 「それは貴方の領収書の出し方がいい加減だからなのでは?」 「えぇー、いい加減なのは俺だけじゃないじゃん。営業1課のシザークだってインチキだぜ? でも1課担当のアルトダはやさしいからさぁ」 フィズが真剣な表情で弁解を続けている姿を見て、カルナラは何だかフィズが気の毒に見えてきたのであろうか……。 大きなため息を吐き出した後、それ以上フィズを責める事を止めて、ふと湧いた疑問を投げかけてみた。 「それで何で、貴方は毎回私のところに持ってくるんです? そのやさしい営業1課担当の彼に頼んだらいいじゃないですか?」 「アルトダはやさしいんだけどさぁ、真面目で細かいんだよ……。その点お前は同期だから頼みやすいし。そんなつれない事言うなよ、なぁ頼むこの通り。代わりにたっぷりサービスするからさ」 フィズは両手を合わせてカルナラを拝むようにして上目遣いで頼み込んだ。そんなフィズの様子を見て、カルナラは思わず噴出した。 「クックッ、サービスって……。一体何をしてくれる気ですか?」 カルナラは笑いながら領収書の束をフィズから受け取りそう質問した。 そんなカルナラに気を良くしたのか、はたまた領収書を受け取ってもらえて満足したのか、フィズは満面の笑みを浮かべてカルナラに近付き、そのまま背後から抱きしめ、その首筋に吸い付きながら囁いた。 「ん? サービスって言うのはこう言う事……」 「……あ……ぁっ」 不意に背後から抱きしめられ、首筋にフィズの唇を感じたカルナラは思わず声を漏らしてしまった。 ****** バサバサバサッっと机の上に置かれていた書類が数枚床に散らばった……。 「ぁ……ん……」 静まり返った休日の人気の無いオフィスに、カルナラの発した甘美な吐息が洩れ聞こえる。 先程まで仕事をしていたはずのデスクの上にカルナラは仰向けで横たわり、フィズの唇によってもたらされる快楽の波に抗うことなくその身を任せていた。 すでにカルナラの衣服は乱され、肌蹴た胸元はほんのりと上気し、幾つもの朱の刻印が刻まれている。 剥き出しになった下半身は、今や弾けんばかりに膨らんだ己の欲望を象徴するかのようにいきり立ち、フィズの執拗な愛撫を受け、その先端からは透明な液を垂れ流していた。 「う……っ、ん……ぁ」 「わ……悪い……、カルナラ。俺……」 艶かしい表情で瞳を潤ませ、フィズの舌の動きに呼応してカルナラの口からは少し上擦った様な嬌声が漏れる。 普段の凛々しいカルナラからは想像できないその艶を含んだ嬌声に、フィズの我慢は限界を超えてしまった。 カルナラにサービスするだけのつもりが、自らの欲望も満たしたくなってしまったのだ。 「……フィ……ズ? いっ……あぁーーーっ!! んーっ」 フィズは突然愛撫を止め、張り詰めた自分の分身を徐にズボンから取り出すとカルナラの秘所目掛けて宛がい、一気に貫いたのである。 快楽の波に溺れていたカルナラは、突然フィズの動きが止まった為、大海に放り出されたかのような不安に襲われ、閉じていた瞳をうっすらと開けフィズを確認しようとしていた……。 その瞬間、不意に襲ってきた鈍い痛みにカルナラは背中を弓なりに仰け反らせ、一際大きな声をあげた。 痛みに耐え兼ねたカルナラは手近にあった書類を思い切り握り締め声を発した後、まるでその秘所に強引に押し入ってきたフィズの分身を吐き出すかのように、少しでも痛みを和らげようと深く長く息を吐き出した。 解されていない秘所は侵入してきたフィズの分身を拒むように強く締め付けていた。 「クッ……、さすがにキツイな……。ごめん……カルナラ、俺、余裕無くって……」 千切れんばかりの締め付けを喰らい、さすがにフィズも申し訳ないと思ったのかそれ以上動くことを止め、顔を歪めて痛みに耐えているカルナラをやさしく抱きしめ耳元で囁いた。 今フィズに抜かれては痛みだけでなく、内臓が引き摺り出されるような不快感が襲ってくる……、そう思ったカルナラはフィズの背中に自分も腕を回し抱きついた。 「……はっ……ん、もう少し……このまま……」 「ん、……ごめん」 目尻にうっすらと涙を浮かべているカルナラを、フィズはやさしく抱きしめたままそっとその涙を唇で拭った。 カルナラの上に乗ったまま、繋がった部分から少しずつ力が抜けていき、締め付けが緩くなっていくのをフィズは動かずにじっと待った……。 「……ん、もう……大丈……夫」 カルナラが吐息混じりにそう呟くとフィズはゆっくりと動き始めた。 「うっ……、あぁ……」 「……ん、カル……ナラ……。はっ……ぁ」 ゆっくりと内側から掻き回される様な感覚と繋がった部分が熱くひり付く様な感覚、フィズが動くたびに内臓が引きずり出される様な感覚……、そんな複雑に入り乱れた感覚にカルナラの意識は深い闇の底に落ちて行ってしまいそうだった。ただ呻きにも似た嬌声が、わずかばかりに口を付いて出る。 しかし、そんな感覚とは別にカルナラの体は少しずつ変化していった……。 フィズの分身をしっかりと根元まで咥えこんだ秘所は、最初の拒んでいる様な締め付けを緩め、更に奥深くへとフィズを導いているように絡みつき吸い付いてくる。 余裕の無いフィズの吐息は自らの動きに合わせて自然と口から洩れ、少しずつ動きとともに早く短くなっていった。 終焉の時が近いのかフィズの動きはますます落ち着きをなくす。 フィズはカルナラの背中を机に押し付けるようにして足を高々と持ち上げると、自らも机の上に乗り上げ、カルナラの足を抱えたまま上から下へと貫くようにカルナラの体を深く抉った。 「あぁ……っ、や……ぁ……ん」 「は……ぁ……っ」 その瞬間カルナラの意識は深い闇の底から無理矢理引き摺り出され、眩しい光に晒されたように白く霞んでいった。 だらしなく開かれた口からは艶を含んだ嬌声が洩れ、熱を帯びた瞳は潤み、カルナラの分身ははち切れんばかりに膨らみ、ヒクヒクと痙攣しながら粘稠度の高い液体をトロトロとその先から溢れさせている。 フィズが激しく腰を打ちつける度に繋がった部分からはグチュッグチュッと、人気の無いオフィスに卑猥な水音を木霊させていた……。 やがてどちらからともなく互いに抱き合い、激しくお互いを求め喘ぐ様な口付けを繰り返す。 吐き出される吐息も紡がれていく嬌声も、もうどちらのものか区別がつかないくらい一つに合わさり融けていった……。 「は……ぁん、あぁっ!!」 「……うっ!!」 カルナラの体が一瞬小刻みに震えたその瞬間、膨れ上がったカルナラの分身は白濁した液体を放ち、繋がった部分が一際ヒクヒクと引きつったため、フィズの分身も咥え込まれたカルナラの奥深くで、その欲望の塊を吐き出した。 ****** オフィスに篭った熱を開放するかのように、フィズは窓を開け放ち清清しい顔で一服していた。 吐き出された紫煙はゆっくりと立ち昇り風に消されていく。 その後ろではカルナラが気だるそうに衣服の乱れを整えていた。 「なぁ、カルナラ……。それ終わったら昼飯でも食いに行かないか?」 フィズは一服を終えてカルナラの方を向き直ると、先程の出来事を少し後悔しているのか、バツの悪そうな笑顔を浮かべてそう呟いた。 カルナラはそんなフィズの顔を見て仕方ないとでも言うように、肩をすくめ両手を挙げて溜め息を吐いた。 「そうですね……。何だかとても疲れたので、今日は貴方に美味しいものでもご馳走してもらいましょうか」 「ははっ、もちろん俺の奢りだけど、あまり高いものは勘弁してよ……。それとも食事代も経費で落としてくれる?」 カルナラのいつもと変わらない様子を見て安心したフィズは、屈託のない笑顔でおどけたようにそう言った。 「……まったく、貴方って人は……。貴方には敵いませんよ、ほら、そんなところで煙草なんか吸ってないで片付けるのを手伝ってください」 カルナラはフィズの発言のお陰で余計に脱力感が増したが、大きな溜め息を一つ吐き出し笑顔で机の上や床に散らばった書類を片付け始めた。 フィズも「ほーい!!」と返事をしながらカルナラの側まで行き、床に散らばった書類を片付けようと屈んで手を伸ばした。 しかし、フィズは手を伸ばしたまま息を呑んでその場で固まってしまった。 「……っ!!(これって……)」 屈んで手を伸ばしたまま急に動かなくなったフィズを不審に思い、カルナラもフィズの背後からその手の先を覗き込む。 そこには先程カルナラが苦労して仕上げたばかりの計算書が……、皺くちゃになってその上白濁した液体に汚された無残な姿で散らばっていた……。 その書類を見た瞬間、カルナラは顔を高潮させ拾い集めたばかりのフィズの領収書の束を、フィズの頭上から撒き散らした。 カルナラの脳裏には先程の出来事が鮮明にフラッシュバックされたのである。 蘇る羞恥と屈辱、痛みを伴った快楽の果ての結果……、快楽に身を委ねたのは確かに自分であるが、そこまで自分を誘ったのは間違いなく目の前にいるフィズだった……。 休日を返上してまで仕上げた計算書が……、折角の苦労が水の泡になってしまい、カルナラは湧き上がってくる怒りの矛先をフィズに向けるしかなかった。 「……フィズッ!! 食事はキャンセルだ!! って言うか、もう二度と俺に近づくな、いいか? 金輪際、お前からの仕事は一切受け付けない!! わかったらとっととこの領収書を持って帰ってくれ!!」 「えぇっ!! そんな……。カルナラァ……」 語気や言葉遣いまで荒くなったカルナラは、怒り心頭と言う様子でフィズの背後に仁王立ちしていた。 その姿を見たフィズは、それ以上何も言えなくなり頭上から落ちてきた領収書を拾い集め、ガックリと肩を落としてその場に座り込んだ。 フィズのその落ち込んだ情けない後ろ姿は、何とも哀れで同情を誘った……。 カルナラは――考えてみたらフィズだけが悪いわけじゃないし、計算書を汚したのは俺の……だし、少し言いすぎたかも知れないなぁと思い直し、大きな溜め息を吐いてから小声で呟いた。 「……仕方ない……、今回だけは特別だ……」 「……えぇっ?!」 背後から聞こえるカルナラの言葉にフィズは思わず歓喜の声をあげて、カルナラの方を振り返った。 そこには、照れくさいのかフィズと目が合った瞬間苦笑して顔を反らしたカルナラの姿が見えた。 「……さっさと終わらせたいから、手伝ってくれと言ってるんですよ。ほら、そこのデスクのPC立ち上げて、グズグズしない!!」 カルナラは散らばった書類をまとめて自分のデスクの上に置くと、PCのスイッチを押しながら椅子に座った。 フィズは嬉しさのあまり、思わず椅子に座っているカルナラに背後から抱きついて頬擦りをした。 「やっぱりカルナラは頼りになる、大好きだよーっ!!」 「うわっ!! 近寄るなって言ったばかりだろ? お前ちっとも懲りてないだろ?」 折角、休日出勤までして早めに仕事を終わらせようとしていたカルナラは、フィズのお陰で散々な目に遭うことになったのだ。 そんなカルナラが――もう休日出勤はこりごりだ……と思ったのは言うまでも無い。 この日を境に、カルナラが休日出勤する姿は見られなくなったとか……。 ****** あとがき 遂にフィズとカルナラが一線を越えてしまいました(笑) 良かったのでしょうか……(;´Д`) いや、いいんです。私はこの2人が大好きなんですからっ!!(力説) 今回はカルナラが受けだったのですが、逆でも私的には……゚。(*^▽^*)ゞ カルナラファンの皆様、貴方のカルナラを汚してしまって 本当にスミマセンでしたm(_ _)m あぁ、でもやっぱりカルナラはクロい方が良い……(うっとり) ↑まだこんなことを言っている私(笑) 紗夜 |
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