『pLeasure prinCiple』18禁(♂×♂ ♂×♂) 「竜棲星-ドラゴンズプラネット」二次創作小説
制作--文月様 ―「!」
部屋に入ったカルナラの表情は、絶句そのものだった。 いつものシザークの部屋とは全く違う。 その雰囲気を漂わせているのがベッドに腰掛けるナスタである事に気付いたのは、部屋の主を見つめてしばらく経った後であった。 「ナスタ様…!一体何をなさったんですか!」 叫ぶような声と共にカルナラが主へと駆け寄る。 ベッドサイドで崩れ落ちるように座り込んでいた主―シザークは、服を全て脱ぎ捨て、まるで放心状態。 しかし彼はカルナラに目を向けた途端、その服を両手で強くつかんだ。 「カル…ナラ」 服を握り締める手とは対照的に力ないその声。 だが瞳はしっかりとカルナラを見つめていた。そして、細く口を動かす。 「お願い……入れて……」 「…え」 その一言で、カルナラの身体が凍るように固まった。 「入れて…オレ…もう我慢できない…」 だらしなく口を開け、シザークがすがり付いてくる。 不意に目がシザークの下半身へ動いた。彼の欲望を体現するように主張しているものが見えて、再びカルナラが驚く。 「っ!」 彼はすぐさまナスタへ顔を向けた。 「…」 ナスタは無言だったが、そのカルナラの表情を見て笑っているようだった。 「ナスタ様!」 「だめッ…」 立ち上がろうとした彼を必死で止める手。 「オレ…もう駄目…カルナラ…お願い…!」 「…」 シザークの切ない瞳と出会う。 女とは少し違った、その恍惚に溺れた表情。 涙目になりながら自分へすがる主に、カルナラはまるで彼を憐れむように見つめ返した。 心の奥で湧き上がる感情を必死に抑えながら。 「シザーク様、落ち着いて」 「カルナラ…ぁ」 ―「そいつはもう駄目だ」 ナスタの冷静な声が部屋に響いた。 「やはりあなたが…!」 カルナラは片膝を付きながらもその強い視線をナスタへと向ける。 「…そうだ」 そう、ナスタが笑った。 「私がシザークを変えた。…狂わせた、と言った方が正しいか?」 「冗談は程々にしてください!一体シザーク様に何を…!」 「楽にしてやれ」 「…え……」 カルナラの心臓が強く鳴る。 ナスタは軽く口元を緩ませながら、自分の背後にあるベッドシーツに手を置いた。 「そいつをこのまま放って置けば、いずれは身も心も壊れるぞ?その前に抱いてやるんだな」 「ふ…ふざけないでくだ…!」 「それとも、女でも呼んでくるか?…もっとも、今のシザークでは欲望も満足にセーブできない。跡取りを…作りすぎるのも困るんだろう?」 「…!」 ナスタの言葉にも驚いたが、それよりも驚いたのはシザークが自分の指を手に取ったからであった。 「カルナラ…指でもいいから…」 と、目を虚ろにさせたシザークが、カルナラの長い指を口に含む。 「シザーク!」 たしなめるように声を出したカルナラだったが、その声も中途半端に喉に詰まってしまう。 シザークの舌に身体が反応したからだった。 悶えるように擦り寄る彼は、肌から滲む独特の香りも合わさって、なぜか美しくいて、妖艶で。 「シザーク。本当に指でいいのか?……もっと良いものをカルナラから貰ってもいいんだよ」 優しくナスタがシザークへ語り掛ける。 その言葉に感化されたのか、シザークはカルナラの指を口に咥えたまま、下の制服へと手を伸ばした。 「……カルナラ」 「やめ…!やめてくださ…い」 彼の指が妖しくそれを服越しに撫でる。 人は欲望に負けると快楽に従順になる。それだけではなく、自分の欲望へも貪欲になる。 自分を満たすためなら、時として美しく、妖しく、そして、相手を堕落させる能力を恐ろしい程に発揮する。 「…」 ナスタが目を閉じるカルナラを見て、笑う。 いつまでも耐えられるわけがない、と。 彼が大切にしているシザークが、こんなにも乱れているのだから。 「なぜ…こんな事を…。シザークは…男で…っ」 「女を抱いた事があるか?」 「…」 「……ないんだな」 背後から聞かせられる冷たい口調。 カルナラは制服を脱がされ、ベッドで仰向けに寝かされていた。 彼の後ろには同じく全てを脱いだナスタが、上には足を広げてまたがるシザークがいる。 ナスタがカルナラの首筋に舌を這わせる度にカルナラのものが膨張し、それに伴ってシザークの顔が歪む。 相手に痛い事をさせているのはわかっていた。なるべく抑えようとも思っていた。 だが、身体は従順に動く。 シザークの中が、良すぎるのだ。 彼の方から塞ぎ包まれた途端、達していたも同然であった。 それから軽く2回は高みに引き上げられている。 溶けそうに熱く、意識が飛びそうな程に狂わされる。 吐き出しても、まだ自身の欲望はとまらない、静まらない、次を欲しがってやまない。 「教えてやろうか」 ナスタの息がカルナラの耳にかかる。そのまま舌が侵入して、奥を軽く舐めた。 「感じられればそれでいい。没頭できればそれでいいんだ。それが刹那の慰めであっても…」 「…」 カルナラの思考の中に、ナスタの言葉がごく当たり前のように染み渡っていく。 「ほら、シザークを見てみろ。……わかるだろ?」 シザークは、カルナラでは表現のできないような表情をしていた。 自分に貫かれて、その上で喘いで。 苦しそうに、それでも嬉しそうに口を開け、息を吸い込んでいる。 その呼吸を、なぜか乱したくなる。 だが、理性はまだシザークの心配へと傾いていたようだ。 カルナラが彼の頬へ手を伸ばす。 つらそうに歪んだ表情を和らげてやるというように優しく、その肌を撫でた。 カルナラの手の感触に、彼は嬉しそうに微笑んでいた。 「上で動くのはつらいぞ。…お前が動いてやれ」 「でも…」 「カルナ…ラ」 声に目をやると、シザークの高揚した顔に出会う。 「う、動いて…」 貫かれる痛みと貫く痛み。 結合部から流れる何かがカルナラの足を濡らしていた。 それが潤滑液となり、内部の動きを助ける。 カルナラはわかってしまった。 どこをどう突けば、上にいる人物の表情が変化するのか。 ねじり込ませるように角度を変えてやると、淡い息が吐き出される。 はたまた強く深く、真っ直ぐに突き立てると、苦しそうに喉を鳴らす。 カルナラ自身が求めたのも、心地よい浅さだった。 本当は浅い程、深い。内部で相手のものが当たり、それが不規則にこすれ合う。 直感的にそれが、女のものでは味わえない快感である事もわかってしまった。 強く、きつく、繋がったまま離れないように。 繋がっているからこそ、快楽が獲られる。 シザークは腕の力を抜き去って、完全にカルナラへと身体を預けていた。 だが、両足だけはしっかりとシーツをつかんでいる。 それが心地よい緊張を生み出し、自分の身体を快楽で束縛する。 いやらしい水音を立てカルナラが中で動く。 それは動いている方が、相手の苦痛も、自分の苦痛も和らぐから。 だが、本当にそれだけなのだろうか。 ナスタが後ろにいるため、カルナラは予想以上に腰の動かしにくさを体感していた。 シザークの肌に当たり、そこから離れる度に背後にいるナスタへと身体が合わさる。 どの部位がどう当たっているかも、感覚でわかる。 ナスタがずっと隠していた"男"の部分。それは彼の胸でもあり、腰でもあった。 カルナラが動く。常に背後からの視線に晒されて。 それもナスタの計算のうち。 だが、カルナラにとって予想外だったのは、この不自由さが快楽の根源であるという事だった。 思い通りにいかないもどかしさは、時として思いもよらない部分へと引き合わせてくれる。 それが快楽を持続させ、もっと相手を知りたくなる。 浅く、深く、こんなにも長い時間動かしていられるのは、カルナラの基礎体力と、その底なしの欲望があるから。 あとは、相性の問題か。 シザークは既にカルナラの快楽を知り尽くし、カルナラもシザークの望むものを知り尽くした。 ここまで来れば誰だって懇願する。 最高の、快感を。 小さな高みがいくつか訪れた後、無意識にも動きが法則性をもってきた。 大きな衝動にかられて、カルナラが無駄のない動きを繰り返す。 「ああっ!カルナ…ラ…もう…オレ…!」 「うっ……ッ!」 より深い衝きの後、カルナラの口から小さな声が漏れた。 熱い衝撃に導かれたようにシザークからも白い液が溢れ、カルナラの肌へと飛び散る。 「……あぁ…」 シザークは満足したのか足の力も失って、深くカルナラのものへと身体を沈み込ませた。 カルナラも全身を脱力させ、シザークを見る。 達した幸福感と流れる心地よい汗。そして、主を犯したという罪悪感。 自分の腹部はシザークによって白く濁っている。 自分だけ一方的だったのではない、それが唯一の救いのように感じられた。 「シザーク」 カルナラは己をゆっくりと引き抜き、ベッド上で立ち膝になるシザークへ声をかける。 「大丈夫…ですか?」 「……」 シザークから返事はない。身体も口も、麻痺したかのように動かない。 彼の内側から流れ出た白い体液が、シーツを広く濡らしていた。 ―「…シザーク」 声を出したのは、後ろでずっと二人を見ていたナスタであった。 右手の人差し指で彼を呼ぶような仕草をみせている。 「…」 シザークがその方向へ手を伸ばすと、その身体はナスタによってベッド中央へ投げ捨てられた。 「なっ!」 驚くカルナラを笑うようにナスタの目が細む。 そのままナスタはシザークの身体をうつ伏せにさせて、彼の腰を両手に取った。 「何をするんですか!」 「…"何をする"?」 ナスタがからかうように肩を動かす。 「お前と同じ事だ」 白く濁ったシザークの中へ、ナスタが衝き入れた。 「!」 嘘だ、とカルナラの心が叫ぶ。 自分の目で見ているものは全て偽りだ。そうであればいい。 先程まで自分が抱いていた相手を。あれがただ欲望のままの行為でも、愛していた相手を。 これは嫉妬なのだろうか。 それとも理性が戻った後の、正常な人間がする正常な反応なのだろうか。 「あっ…ん…っ!」 激しさにシザークが声を漏らす。 両膝と片腕で自分の身体を支えるのがやっとの状態だった。 時々、ナスタは強くシザークの腰をつかむ。衝撃から、相手を逃さないように。 強い彼の衝動。まるで何かを壊すためのような。 それでもシザークの表情の中に、苦痛に耐える顔以外のものも見えた。 「あっ…っ!ん…ああっ」 その声だけがカルナラの耳に届く。 聞いただけで、どんな顔をしているかわかってしまう自分がいる。 「んんっ!」 シザークの腕から力が抜け、その顔がシーツに沈んだ。それでも甘い息遣いは変わらない。 「ナスタぁっ…!激し…すぎるっ…!」 「嬉しいくせに文句か?」 「うぁっ…」 苦痛からか、自然とシザークの瞳には涙が滲んでいた。 苦しすぎる、強すぎる、だがそれを望む感情がある。 涙がその証拠だ。苦痛からではなく、強い快楽からの、涙。 カルナラが動いたのは、それを理解したからであった。 ―「シザーク」 「…えっ…」 突然背後から聞こえた声に、シザークが振り向く。 カルナラが、すぐそばにいる。 シザークの頬を伝う涙を拭ったカルナラは、彼の両腕を取り上げ、自分の身体を彼とベッドの間に横たえた。 当然、カルナラの身体に乗るような格好になって、シザークが驚いたように目を見開く。 「シザーク。今日の事、忘れられますね?」 喘ぎの間から聞こえるカルナラの声。それはいつものように優しく穏やかで、あたたかい。 「忘れられるなら…」 「ああ…忘れる……うわっあ…ッ」 シザークは返事をした後、すぐに別の声を上げる事となった。 仰向けになったカルナラがシザークのものを掴んでいたからだ。 大きな両手でそれを包み、撫で上げるようにして刺激を与える。 そして、シザークへ口付けた。互いの息は既に熱く、甘い。 シザークはカルナラの、カルナラはシザークの髪を撫でる。 抱き合う恋人同士のように。 金色の髪と黒い髪が混ざり合って、重なって、そのまま、カルナラはシザークを愛した。 「シザーク、気持ちいいか?」 シザークの腰にナスタの声が染み入る。 「…う…あぁっ!気持ち…い…気持ちいい…っ」 「困った弟だ。こんなにされてもまだ足りないのか?」 「だ…あっ…だって…!もっと…あぁっ!もっと…ッ」 「もっと欲しいか」 ナスタの動きが不意に強くなる。ベッドの軋む音に、腰を打ち付けられる音が加わった。 「うわっ!…ぁっぁ…っはっ…!」 カルナラは無言でシザークを見つめ、唇を奪い、髪を撫で、高みへと誘っていく。 「ああっ!」 息も付かぬままに突き動かされて。 「ん…はっ…っ!」 自分の従者に穢され、愛され。 「う…っあん…あっ…ナスタ…っ!イ…ッ!イく…っ!!」 兄に弄ばれて。 ―「あああっ!!」 それなのに、嬉しそうに喘ぎ、私を誘う。 「カルナ…ラ……カルナラ……」 シザーク…あなたは嘘をつきましたね。 これを忘れられるわけがない。 私が、忘れられそうにないのだから。 |
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