『タイトル不明』18禁(♂×♂)


「竜棲星-ドラゴンズプラネット」二次創作小説
制作--Mikoto様


まだ纏められないので、触りだけ……↓






雨が降っていた。
走りこんだ洞窟は狭く、馬一頭分ほどしかない。
カルナラは、意識のないナスタの体を腕から下ろすと奥へおしやった。
ほんの雨宿りには、ここで充分だろう。
「無茶なことを……」
カルナラは上着を脱ぐと、ナスタの体の上に乾いた側を下にして覆いかけた。
下にも何か敷きたいところだが、何もない。
カルナラは傍らに横になると意識のない相手に「失礼します」と声をかけ、体を引き寄せた。
反転しこちらを向いた顔は青ざめ、いつもの覇気は欠片もなかった。
無防備に薄く開いた唇から微かに吐息が漏れている。
何かいけないものでも見たかのような気がして、カルナラは寝顔から目を逸らした。

音もなく雨は降り続けている。

白い霧状の雨の向こう、何処かでシザーク様が部下達が敵と戦っている。
現在位置は分からない。

あの時――なぜ咄嗟に手を伸ばしてしまったのか……。
カルナラは溜息をはいた。
自分は既にシザークだけに仕えると決めた筈だった。
なのに、敵の襲撃の際、転移の術で一人去ろうとしたナスタを見て、自然に体が動いた。
つかんだ手をナスタは振り払おうとすれば出来た筈だったのに、一瞬自分をみて笑った。
いや、カルナラをではなく、その向こうに立つシザークをみて笑ったのかもしれない。

捩れるような感覚に襲われた後、カルナラは別の場所にいる自分をみつけた。
目の前には雨のなか意識なく倒れふしたナスタがいた。
周囲の鬱蒼とした森から自分達が今いる場所を読み取ることはできそうになかった。
次第に雨に濡れていくナスタを抱き上げ、樹の下を辿るようにここまで来たのだが――

「カルナラ……」
ハッと息を呑んだ。
「ナスタ様、お目覚めに」
なりましたかと言いかけた唇は、勢いよくぶつかってきた何かに塞がれた。
冷たい――。
「な、なにを」
カルナラは顔を横に振って逃れ立ち上がろうとしたが、ベルトをつかまれ引き倒された。
「寒いんだ。温めろ」
切れ長の美しい瞳が命令する。
ドクッ――と胸が跳ねた。
「お寒いのでしたら、私がもう一枚脱ぎますから……」
「馬鹿か、お前は。そんなものぐらいで温められると本気で思っているのか」
そう言いながらもナスタはカルナラがシャツを脱ぐのを止めなかった。
肌蹴た胸へ冷たい手が触れ微妙な動きをする。
「ナ、ナスタ様……?」
「脱ぐなら全部脱げ。私に風邪を引かせるつもりか」
ガチャガチャとベルトを外され、下穿きを脱がされかけたカルナラが声にならない悲鳴をあげ後ずさると、パシッと頬に熱が走った。
「ごちゃごちゃ言うな。雪山で遭難した者同士が裸になって温めあうのと同じことだ」
「はっ、失礼しました」
確かに上着一枚かけただけでは、温められそうにない。
肌寒さを堪えながら、カルナラはナスタに背を向け、大人しく下着一枚の姿になり服の上に身を横たえた。
「これで……よろしいでしょうか」
「ふ……」

笑いの気配が後ろから迫る。
「カルナラ」
息が項にかかった。
早鐘を打ち始めた胸に鎮まれと念じる。
「はい……」
「そう離れていたら温まらない。こっちを向け」
「……はぁ」
言葉を濁しそのまま固まっていると、背中をつーっと指が走り尻へおりる。
「……っ!」
その反応にクックッと楽しそうな笑いをあげ、ナスタが冷たい腕を前に回し背中からカルナラを抱きしめた。
いつの間に脱いだのか、ナスタの肌がじかに触れ、膝の間に冷たい足が差し込まれる。
カルナラの中を得体の知れない震えが走った。
「まるで処女のようだぞ……」
カッと頭に血が上ったカルナラは、身を反転し怒鳴った。
「あなたはっ……こんな風にふざけている場合ですか!今の今、シザーク様は敵と戦っておられるというのに!」
「やっと、こっちを向いたな」
思いがけぬほど近くに真紅の瞳があり、反射的にカルナラは身を反った。
「ナスタ様!」
「そう怒るな……現在のシザークなら大丈夫だ。指輪がなくとも竜を従える力くらいある。それより……使った反動で力が入らない。休ませろ……」

力を抜いたナスタはカルナラの胸に頭をもたせ、カルナラは押される形で横たわった。
激しく上下を繰り返す胸に金髪がしどけなく広がる。
その感触に、過去付き合った女性達の幻影が脳裏を過ぎり、喉がゴクリと鳴った。
吐く息が熱い。
自分は何を考えている……。
思わず息をつめ、顔を逸らしたカルナラの耳が囁きをとらえた。
「硬いな……やはり」
やはり何だというのか。
顔を戻した緑色の目と真紅の瞳がぶつかる。
ナスタは目を細め、人の悪い笑みを浮かべたまま熱い胸に手を這わせた。
円を描くように動いた掌が乳首を弄び始めて、やっとカルナラは自分が女と比べられていることに気づいた。
「お休みになるのではなかったのですか」
長い間性を偽ってきたにも関わらず、それなりに女性経験があるのか、ナスタの手は巧に動いた。
感じないはずの胸に、くすぐったさにも似た妙な感覚が芽生えてくる。

カルナラは浅く息を吐いた。
同じことをされていた見ず知らずの相手に、同情を覚える。
きっと抗えなかったのだろう……美しい皇子の魅力に。
月光を溶かしたようなプラチナ・ブロンドの髪を乱したナスタは、魔性のようだ。
真紅の瞳に溺れ流されてもおかしくはない。
噂がなかったのは、脅迫され口を封じられたか、任を解かれたか……。
王族と肌を重ねて平気でいられるわけがないのだ。
二重の禁忌にカルナラは慄いた。

「ナスタ様、お止めください」
制止の声をナスタは無視し、乳首を指でつまみ擦る。
「変だな、尖っているのに。カルナラ……お前不感症ではないのか」
あまりの呑気さに呆然としたカルナラは、やがてこらえきれずに噴出した。
快感というには余りに淡い。むしろ寒さが勝っている。
乳首が勃っているのは触れる指の冷たさのせいだろう。
それが分からないほど経験が浅い皇子にホッとする。
単なる悪戯に過剰反応して、あれこれ考えてしまった自分の心配性をカルナラは自嘲した。
「……私を嗤うか」
「いいえ! 滅相も……ありません」
逸らした頬がヒクヒクと痙攣し、言葉を裏切る。
怒りを煽られたナスタは身を起こすとカルナラに馬乗りになり、頬を打った。
「誰だと思っている!」

カルナラは目を見開いた。

「私はシザークとは違う!」
立て続けに反対の頬が鳴った。

「ナ、ナスタ様……なにをっ」
無抵抗の両手を見る間にベルトで縛られ、カルナラは青ざめた。

信じがたいものが目の前にある。
剛直。
薄いピンク色の亀頭が権利を主張するように天を衝いている。
「あ……」
動揺に開いた口に、ナスタの長い指が差し込まれる。
口腔をまさぐられ、唾液が唇から零れ肌の上を伝い落ちた。

「逆らうな」

指が引き抜かれ自由になった唇は、息を吸う間もなく奪われた。

温かな唇。
長い睫の下にのぞく炎。
真紅の煌きは激しさを増し、無言で責めている。

カルナラは瞳を閉じた。
激しく攻め立てる舌に、ナスタが未だシザークについた自分を許してはいないのだと知る。
息を詰まらせ逃れようとしたが、抗う体の中心をナスタに握りこまれ、カルナラは低い呻き声を洩らした。
「……んぅ……」
上下に扱かれ無意識に腰が揺れる。
「初めてか?」
何を聞かれたのか分からず目を開いた瞬間、痛みが走った。
「なっ……」
「きついな」
そう言いながらナスタは笑みを浮かべた。
内襞を押し広げる指の動きにカルナラの顔が歪むのを楽しんだ後、ナスタはカルナラの体を一転させうつ伏せにし腰を引き寄せた。
「これでお前は私のものだ……」
「――――!!」
メリメリと体を裂かれるような痛みにカルナラは身を強張らせた。

「苦しいか……カルナラ……」
ナスタは言葉なく震えるカルナラの背に唇を落とした。
「お前は馬鹿だ」
口付けた場所に薔薇色の跡が残る。
「ついてくるから、こんな目に遭う」

しかし、揶揄する声は甘く掠れていた。
ナスタはカルナラの体のそこここを啄ばみ、舐め、食んだ。
「ん……ぁ」
カルナラの体から次第に強張りが解けていった。
前に回ったナスタの手が、萎えてなお大きいそれを扱く。
「はっ……ぁあ……」
カルナラの唇から溜息がこぼれる。
穿たれた箇所を中心に未知の熱が広がっていき、意識が焼かれ、ただ喘ぐことしかできない。
前、後ろ、前、後ろ。
体が揺れ、痛みと快感が交錯する。

「ずっとお前が気になっていた」
「はんっ」
言葉と共に奥を突かれ、カルナラは唇を噛んだ。発した声が思いがけず甘い響きを持っていたことに頬を紅く染める。

「最低だった」
熱い息が耳を擽り、耳朶を噛む。
「んんっ」
「お前はシザークばかり構って!」
捻じ込まれた銛が乱暴に引き抜かれ、また押し込まれる。
「んああっ」
囁かれた言葉を理解した途端、全身が燃えるように熱くなった。

気づいていた、自分に注がれる眼差し……。
しかし、その意味は知らなかった。
「……っ」
カルナラは首を横に振った。
「私は――」

憎まれているのだと思っていた。
紅い瞳に鋭く射抜かれる度、シザークを守らねばと――あの無垢な笑顔を守る盾になろうとしてきた。





――完?――

*私の中のナスタ様は、プライドが高く、愛すればこそ辛く当たってしまう方なのでした。カルナラにとって、シザークと同じ役割をするのが許せない。シザークの代わりになどならない――と、シザークが一生するはずのないことをカルナラに対してするのです。ナスタ様にお掃除兄さん以外に男性の恋人ができても、今度は攻めであっていただきたい。そんな気持ちが書かせたのかもしれません。長々と失礼しました。



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