『トレモロ』 外伝1 R−18
もしシザークがあの時来なかったら・・・『お兄さん×フィズ』
(執筆感謝) ぷみ丸様
次の小説は
『トレモロ』〜3〜で、『もしシザークがあの時来なかったら・・・』という設定の下に書いてあります。故にカップリングは『お兄さん×フィズ』です。
ぬるいですが性描写を含みますのでR指定でお願いします。
上記を踏まえた上でご覧ください。
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キスはトレモロのリズムだった。
浅いリズミカルな唇の動きにフィズは戸惑った。
食いつくようなキスをされるのかと思っていたが、意外と優しい。
「男同士のキスはどう?」
唇が触れ合ったままの男の問いに、フィズは違和感は無い、とそう答える。
それが合図だった。
口付けが深くなり、ややアルコールの混じった唾液がお互いを行き交う。
お互いにキスがうまかった。夢中で舌を奪い合い、吸う。
ようやく唇を離せばお互い息が上がり、顎に伝う唾液を拭う。
フィズが借り物の上着を丁寧に椅子の背に掛けると、男が背後から抱きとめてきた。
腰の辺りに男の情熱を感じる。
「ヤバイ。ハマリそう」
「あんたより十歳ぐらい年上のおっさんだぜ? いいの?」
「関係ないよ」
ぐるりと振り向かせて再び唇を合わせた。
シャツのボタンがはずされ、SPの鍛えられた身体が外気に触れた。撫ぜられるとフツフツと粟立つのが分る。
「もう一度聞くけど、今付き合ってる男いないの?」
「いない。嫁もっ・・・くっ・・・募集ちゅ・・・」
下から上へ、上から下へ。触れるか触れないかの絶妙な動きだ。
「よかった」
男はフィズの肌に唇を寄せた。身体の持ち主から鼻にかかった声が漏れる。
胸の突起が尖っていた。誘われるように啄ばみ、指で押し感触を楽しむ。
「初めて?」
「男は・・・」
「大丈夫、任せて」
何をどう任せりゃ大丈夫なんだ、突っ込みたいが突っ込めなかった。というよりこれから自分が別の意味で突っ込まれるのだ。
シザークはどういう心持でカルナラを受け入れたのだろうか。男でありながら組み敷かれ、女のように扱われる。そんな自分をどう思っているだろうか。
頭はやけに冷静だった。
ビリヤード台に押し倒されて男を仰ぎ見る。目が合うと爽やかに笑った。
しかし手つきは淫らでカチャカチャとベルトが引き抜かれて、トラウザーズが引き下ろされた。
(うわ、どうしよう)
初めてひるんだ。
触られることにではなかった。自分の身体の反応が恐ろしかったのだ。
同性とキスをして愛撫をされて、下半身は驚くほど硬く勃ち上がりっていた。
慣れた手つきで下着を下ろされ、裏の筋をそっと撫でられると、いきおいよく震える。
少し泣きたくなった。
砲身を握られ上下に動かされると知っている快感が襲ってきた。
そういえば最近ご無沙汰だった。
もともと淡白な体質なんで特に気にも留めていなかったが、こんなことになるのなら自分で処理しておけばよかったと後悔した。
「ちょ・・・ちょっと待って」
「うん、ちょっと待ってあげる」
男は砲身から滲んだ液体を軽く舐め上げにんまりと笑った。
「出しちゃうとあとで辛くなるからこっちが先ね」
窄まりを撫ぜられフィズが呻いた。男は気にすることもなくポケットからなにやら取り出す。薬のような小さなフィルム状の袋だった。
男の身だしなみ。そう言って口と手で器用に袋を破った。中身を指で掬い先ほどの窄まりに押し付けるように撫ぜた。
慎重に男の指が窄まりを開いていく。触れられているところに熱が溢れてくる。その熱がもどかしくてフィズは声を上げた。
「痛い?」端的に聞かれて焼けるように熱いことをようやく口にした。
「こっちも熱い。俺の指を出そうとして蠢いてる」
恥ずかしくなりそうな台詞をさらりと言って男は放っておかれたフィズを扱き出した。意識がそっちに移り、後ろの筋肉が緩むとすばやくジェルを垂らし先ほどより奥まで蹂躙した。慣らされ、指を増やされ、ジェルの塗れた音に羞恥する。
(ヤバイ。気持ちいい)
ずっと喘ぎっ放しで口の中が乾いていた。キスをされ唾液を流し込まれると喉を鳴らして飲み込んだ。
「もう限界。あんたやらしすぎる」
低く掠れた声が耳元で囁いた。
どの変が?
合点の行かないまま足を開かれて、濡れそぼった箇所に灼熱を感じた。ぐいぐいと押し入られ痛みに息をつめる。
「食い千切る気か」
砲身を握られて下腹部の力が一瞬緩む。
「あーって言ってみて。楽になるから」
思考が止まったままのフィズは男の言葉通りにする。言う事によって下腹部にたまった力が抜け、何度か繰り返すと男の熱がぴったりと納まった。
お互いが荒い息をつき、SEXはスポーツだなと改めて思う。
ふっと目が合い笑うと、どちらともなく唇が寄る。
「動いていい?」
「ゆっくりだぞ。これ以上痛くしたらあとで狙撃してやる」
フィズの戯言に男は声を出して笑った。
「俺、あんたのそういうトコ好きだよ」
男は緩やかに動き出した。
臓器を引きずり出されるような動きに我を忘れ、フィズは男を狂おしく抱く。
あとは波に流されるだけだった。
男が会場で食事を取っていると、不意に名前を呼ばれた。
「どこへ行っていた?」
見るからに不機嫌そうな愛人が自分を見ていた。
「ビリヤード室。一人で暇なんで彼に付き合ってもらっちゃった」
先に戻った先ほどの情人をちらりと見やる。
酔っ払いをあわただしく介抱しながら適当にオードブルを摘んでいた。
「ふん。疑わしいものだ」
「あ、妬いてるんだ」
嬉しそうに男は愛人に抱きつこうとすると、ひらりとかわさた。
「ナスタさんひどーい」
「うるさい」
相変わらずにべもない態度だ。
「そういえば弟が行かなかったか?」
「見てないけど?」
「あのバカどこへ言ったんだ。本当に私の周りはバカばかりだ。もう少しマシなやつはいないのか」
バカが伝染っては困る。そう言い捨ててナスタはシザークに変わっていく。
「カルナラ見かけたら探していたと伝えてくれ」
「りょーかーい」
右手を上げて答えた。
最初は憂鬱だったが、意外と楽しく過ごせた。思わぬ収穫もあった。
彼とはいい付き合いができるかもしれない。
何事も無かったように振舞う男前の情人を見つめそう思った。
「そういえば名前聞くの忘れた。ま、次に逢ったら聞けばいいか」
俺たちの関係はそういうアバウトなものでいい、情人の声が聞こえたような気がした。
《fin》
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竜棲星