『トレモロ』 外伝2 R−18

もし、あの時、兄弟でシザークが悦ぶ姿を見ていたら・・・『カルナラ×シザーク』

(執筆感謝)  藤棋様


7月1日に投稿したもの、ちょこっと足して、更に続きを打ってしまいました。

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「いい・・・わけないだろ! 離せっ・・・」
「シザーク・・・」
 思わずカルナラが手を離した。
 シザークは無理に身を捩って足を閉じる。
「駄目ですよお、陛下ぁ〜。言う事聞いてくれなきゃ〜」
 うへへへと笑いながらアルトダがシザークを握る指に力を入れた。
「あうっ!」
 痛みにシザークが喉を反らす。
「伍長!やめなさい!」
「じゃあ早くして下さい〜」
「や、やめろ。見られてんのにできるかっ・・・」
 シザークは痛みと羞恥に潤んだ目で、アルトダを睨んだ。
 酒乱のアルトダにはシザークの怒りも通じず、睨まれてもまったく動じないで、逆にその顔を見つめて言った。
「陛下って色っぽかったんですね〜。知らなかったですう〜」
 酔っ払っいのアルトダがシザークの顎に うちゅっと吸い付く。
 シザークが顔を反らして逃げると今度は首筋を舐め始めた。
「うっ。やめろっ」
 シザークがぎゅっと目を閉じて堪えるのに、見かねたカルナラが言う。
「やめなさい。伍長」
 カルナラが、アルトダの額に手を当て、その顔をシザークから引き離した。
「仕方がありません。やりましょう」
 カルナラも所詮は りっぱな酔っ払いだ。一時だけ困りはしたものの、普段と違い、判断力、羞恥心はきれいさっぱり紛失していた。
「馬鹿言うな!」
 赤面して言うシザークのひざを身体で割り開き、その両足を自分の両肩に掛けた。
「やめろ! 嫌だっ! こんな状況じゃ、どっちにしても痛いじゃんか!」
 シザークは痛みを想像して涙目で抗議し、カルナラの両手を止めにかかる。
「痛くしないよう努力します」
「嘘だっ。そんな・・・」
 カルナラが、難なくシザークの着ている制服の上着のボタンを外しにかかると、シザークが力の入らない腕を上げ、カルナラの顎を両手で押して引き剥がそうと試みる。
「なんでこうなるんだよ!?」
「すみません。諦めてください。シザーク」
 抵抗するシザークの両手を頭の上で一つにまとめ、酔いの勢いでカルナラは自分を罵倒するシザークに己を沈めた。
「あああっ!」
 シザークが痛みに足掻き、身体を上にずらして逃げようとするのを、カルナラが更に深く追う。
「あっ、痛っ、・・・っ、くっ、」
 カルナラがシザークの唇を唇で塞ぐ。
そのとたん、アルトダが思いついたようにふふふと笑い、シザーク自身に指で作為を加え始めた。
喉の奥で抗議の声を上げていたシザークが驚いたように目を見開いた。

「あっ、ん・・・はっ・・・」
「気持ち良いですか〜? 陛下ぁ〜」
「・・・んっ、は・・・離せっ、あっ」
 シザークが喘ぐ。
 痛みに泣いたシザークへの挿入は、カルナラ自身が出す先走りで抜き差しがスムーズになった。
 痛みと快感がない交ぜになり気持ち良さげに甘い息をはくシザークを、カルナラとアルトダが見つめる。
「陛下って、こうして近くで見ても本当に綺麗ですよね〜」
「・・・・・本当なら誰にも見せたくは無いんだけどね」
 アルトダが、シザークを愛撫する手とは逆の手で、快感に上下するシザークの胸をするりとなでる。
「あっ、ん・・・っ」
 シザークの身体がピクリと跳ねた。
「ふふふ。兄さんが執着するのも無理ありませんよ〜。私だってこんなに綺麗な人、好きになったら抱かずにはいられませんよ、きっと」
 そう言ってアルトダがシザークの唇に唇で触れようとする。
「伍長」
 カルナラが静かな、だが、強い声でアルトダの行為を遮った。
「伍長。もうこの手を離してもらえないか。シザークが辛いだろうから」
「そうかな。兄さんの手だと思って気持ち良さそうですけど」
「はっ・・・ん、あっ」
「伍長」
「わかりました」
 作為を加えていた手をシザークから離して、アルトダはカルナラを見つめて言った。
「兄さん。お願いがあります」
「うん?」
 酔いに任せて羞恥心をどこに置き忘れたのか、恥ずかしげもなくシザークに抜き差しを繰り返しながら、カルナラが答えた。
「なにかな?」
「一度だけ、陛下にするみたいなキスをして下さい」
 アルトダは驚いた顔をしたカルナラに、にっこりと微笑む。
 その顔を見つめたカルナラは動きを止め、ふうっと溜息をついてアルトダを引き寄せ、額に軽くキスをした。
「シャレにならないよ」
「そうですね。ふふ」
 笑ってアルトダが隣のソファに突っ伏した。
「大丈夫か?」
「眠いだけです」
 そう言ってアルトダは眠りに落ちる・・・ふりをした。
 カルナラがふっと笑う気配がしたのに気づきながら、そのまま眠ったふりをする。
「あっ、ん。ああっ、はっ、んんっ」
 それまで一定のリズムで喘いでいたシザークの声が急に激しくなり、カルナラがシザークの身体に集中し、更に愛撫を加えだしたのに気づく。
「シザーク」
「ああっ、んっ」
「シザーク」
「はあっ。んっ、カルナラ。カルナラ・・・」
 ソファがほんの少し軋む音を出している。 
 シザークの足を肩に掛けたまま、カルナラがシザークに身体を乗り上げる。
「ああっ!!」
 悲鳴とも喘ぎともつかないシザークの声が、途切れることなく切なく続く。
「あ、カルナラ。もっと・・・、もっとぉ」
 激しく律動する腰を更に深く追い込んでカルナラがシザークを喘がせ続ける。
 張り詰めたシザーク自身を、カルナラが指で軽く扱く。
「カルナラぁ! あ!んんっ! あああー!」
 シザークが身体を震わせた。

「カルナラ」
「シザーク。大丈夫ですか?」
「うん。お前まだイって無いだろ。いいよ」
 潤んだ目でうっとりと微笑んだシザークに、引き寄せられるように激しく口付けて、カルナラが律動を早めた。
「・・・・・・っ」
「シザーク」
「あ、あ」
「シザーク」
 愛しい人の名を繰り返す。
 そうしてカルナラはシザークの中に自分を放った。

「そろそろ会場に戻らないとマズいよな」
 潤んだ目はそのままでシザークが呟くように言った。
「そうですね。でも・・・」
「ん? 何?」
「これ、どうしましょうか?」
「あっ!!」
 シザークは、自分達が勢いのまま脱がせ、無残にソファの足元に散らばった「カナデアの仮装」を見て呟いた。
「ナスタが怒るな。たぶん」
「そうですね。それにこれ、着るのがたいへんなんです」
「はーはっはっは。それはこのナスタ様にまかせておけ!!」
「なっ! ナスタ様!!」
「げっ! なんでナスタがここにっ・・・・・・。部屋の鍵、かかってたはずだぞ!」
「ふふん。私に不可能は無い!!」
 言って、ナスタが揺れるカーテンを指差す。
「また、そんな危ない事を!!」
 カルナラがナスタの無謀を咎め、揺れるカーテンに目をやると、そこには・・・神出鬼没の『司会の男』が立っていた。
「いやあ、眼福、眼福」
 司会の男はへらへらと笑いながら部屋に入り、シザークの身体のラインを目でなぞった。
(この男、シザークにっ!)
 その視線に気が付いたカルナラが、足元に散らばるカナデアの仮装の1枚をシザークに頭から被せると、こっそりと囁いた。
「シザーク。わたしが嫌なので、貴方の身体を他人に見せないで下さい」
「え? 何?」
「被っていて下さい」
「うん? 何だかわからないけど・・・わかった」
 シザークが服の下からもそもそと答えた。
「カルナラ、お前、ヘタレのくせに自分の弟にまで手を出そうとは、呆れたな」
「なっ! 何言ってるんですか! 手なんて出してません!」
「まあいい。とにかく、さっさと着付けろ」
 一緒に入室して来た「着付け部隊」にナスタが命じ、カルナラは元通りのカナデアに戻っていく。
 カルナラの制服をシザークの頭に落として、ナスタがシザークをソファから蹴落とす。
「うわっ! 何すんだ! ナスタ!」
「主役達が居なくなっては意味が無いだろうが!! このバカ!」
「なにも蹴らなくても・・・」
 小さな声で反論するも、シザークを一瞥したナスタはそのまま「司会の男」を連れて、部屋を出て行った。
「何しに来たんだ? ナスタとあの男」
 ふと、制服を着ながら隣のソファに目をやると、酒乱のアルトダがすっかり本気で爆睡していた。
 
「ふふふ。実に今回はおもしろい。このために新しくビデオカメラを用意した甲斐があったと言うものだ」
 部屋の外で、隠し持っていたビデオを掲げ、高笑いをするナスタであった。


    《fin》





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竜棲星