トレモロ BL18禁

トレモロ15 見てますからどうぞ

「!?」
 咄嗟の事に、しばらく呆然となったシザークは、アルトダが口を少し離した時に正気に戻った。
「何するんだ! いきなり……っ」
「いきなりじゃないですよ、きちんと言いました。兄さんが陛下とするのを拒むようなので、先に頂こうかと」
「いや、お前、だか……」
 また口を口が塞ぐ。
「んーーーっ」
 知らぬ仲ならまだしも、相手はカルナラの実弟だ。蹴り上げる事もできず、シザークはアルトダの身体を必死で離そうともがく。
 あっけにとられていたカルナラが、アルトダの背中に手を伸ばそうとした時、先にアルトダの手がシザークのファスナーをすばやく下ろした。
「!!」
「ちょっと、伍長!」
 アルトダの手がすぐに、下着を着けていないシザークのそれを握る。
 カルナラがアルトダの手を掴んで離させようとすると、
「いだっ!」
と、シザークが声をあげた。
「痛い!」
 見ると、アルトダが離されまいとシザークを強く握り締めている。
「離しなさい! 伍長」
「嫌ですー」
 アルトダは空いている方の手で、シザークの下を器用にスポンっと脱がしてしまった。
「こら!」

 途中まで、酒の勢いによる冗談半分、に捉えていたカルナラは、アルトダが自分の前を肌けるのを見て、ようやく彼が本気なのだと気づいた。
 シザークは握られた痛みに顔をゆがめて耐えている。
「兄さんが言う事聞いてくれないなら、このまま」
「伍長! 待ちなさい! わかったから!」
 酔っ払いに正当な意見を述べても仕方ないと判断し、カルナラは応じたフリをしようと決めた。
「お前に陛下を抱かれるくらいなら、私がするよ。それでいいんだろう?」
「最初から、素直になればいいのにー」
 アルトダはニヤニヤしながら、身体だけを離す。ところが握った手を離さない。
「陛下が辛いだろう。早く、離しなさい」
「そう言って、逃げられたら困るんでぇ」
 読まれてる――こんな所だけ鋭くなくてもいいのに。
「兄さんが陛下に挿入したら、その後、手を離します」
 先程から痛みに耐えて声も上げないシザークの顔に汗が見えて、カルナラは慌てた。
「わかった……って、え? 入れる所から見てるのか?」
「もちろん」
 カルナラは溜息をつき、ソファに仰向けに横たわるシザークの足を開く。
「シザーク、その……いいですか?」

 普段なら、こんな展開にはならないだろう。
 今、普段と違うのは、カルナラにも大量の酒が摂取されているという事だ。
 普段通りの判断をすることも叶わず、カルナラは弟の策略にまんまとはまっていた。

「いい……わけないだろ! 離せっ……」   ※外伝で別バージョン