トレモロ BL18禁

トレモロ14 さんぴー?

「な……何考えて…!? あ、ちょっとヤメ……」
 シュルシュルという衣擦れの音。
 カルナラの抵抗空しく二人の手によってカナデアの衣装は剥がされていった。
「兄さんの肌って意外と綺麗ですよね」
「ん? そうだな。この年にしちゃ張りもあるし弛んでないし」
 ペロリと唇を舐めたシザークの顔は悪戯なもので、こういう顔をしたときはろくなことが無い。
「いい加減にしないと、怒りますよ!」
「こっちはもう怒ってるんです。ね? 陛下」
「ああ。人のこと散々説教しておいて、一番無防備なのは誰だろうな」
「そういうことなんで、今日は陛下と一緒にお仕置きです」

 再びアルトダはカルナラの首筋に噛み付いた。痛みを訴えるとまた別の箇所を噛み付いてくる。
 シザークはというと、カルナラの上に重石のように乗りあがり、あらわになった足を撫で上げている。見覚えのある傷がたくさんある。その傷を愛おしそうに舐め上げると、下着越しにカルナラが反応したように思えた。

「カルナラ、今どっちに反応した?」
 シザークは上目遣いで覗き見た。
「私ですよね、兄さん」
 今まで噛んでいた鎖骨のあたりを突然アルトダが舐める。カルナラがひゃっ!と声をあげると、面白くなさそうにシザークがまた足を舐める。そうしてカルナラはその舌の淫靡な感覚にまた声を上げた。
 アルトダの唇は下に降りて行き、シザークの唇は上へ昇ってくる。先ほどの声を上げたのが嫌だったのか、今度は我慢しようとして食いしばった口から漏れるのはくぐもった声。
 シザークがいつもより質量の少ないカルナラに触れようと手を伸ばすと、大きな手がそれを拒んだ。
(なんか怒ってる?)
 ちょっとやりすぎたか、と青い目を伏せた瞬間一気に引っ張られた。カルナラの上に乗り上がり、呆気に取られたまま受ける口付。その荒さにシザークは恐る恐る訊ねた。
「カルナラ怒ってる?」
「いえ、ただ……」
「ん?」
 カルナラは顔のすぐ近くのアルトダを気にしているのか、小さめの声で言う。
「この状況では楽しめるわけもないので」

 すると、アルトダが陽気に言った。
「えー、折角パーティなんですよー。無礼講無礼講」
「アルトダ、そろそろ」
 やめよう、というシザークの言葉を遮り、アルトダは続けた。
「じゃ、私、見てますから、お先にどうぞ」
「は?」
「興味あったんですよねえ。国王陛下が、私の兄さんにどうやって抱かれてるのかなーって」
 何故か不敵に唇の端をあげ、アルトダは「ホラ、早く」と促す。
「冗談じゃないよ。もう。私も会場に戻らないと」
「そうだよ。何考えてんの」
 カルナラとシザークが同時に拒否すると
「じゃ、私が」
 そう言ってアルトダは、シザークの両肩を手で押し、そのままカルナラとは逆の方に押し倒した。そして、カルナラが
「あっ」
 と驚く間もなく、シザークに口づける。