トレモロ BL18禁

トレモロ18 攻められるカルナラ

 アルトダは、血圧が上がったように感じた。
「やっぱり!」
「え?」
 もう帰ってこないと思っていたのに、急にアルトダの声がして、二人はびっくりした。
「やっぱり! 合点が行きません。貴方達ばっかり楽しんで!」
「えっ?」
 きょとんとした顔のカルナラを見て、アルトダはこんなに自分が悩んでるのに、と八つ当たりしたくなった。
「兄さん、私、後ろにも興味があるんです。陛下がそんなに気持ち良さそうなんだ。きっと、いいんでしょう? お願いですから、やっぱり触ってください。邪魔はしませんから」
 カルナラは驚いたように身体を一瞬硬直させた。ゆっくり弟に向けた顔には、明らかに困惑の表情が見て取れた。
 カルナラが言葉を発する前に、シザークがカルナラにしがみつく。表情は見えなくなったが、無言で抗議するようなその握る手の強さに、カルナラはシザークの髪を撫でて答えた。
 そして、アルトダの目を見て言う。
「伍長。言った通り、抜く事には協力する。だが、そこを触れば、後戻りができなくなる。そして、私はそれに最後まで応える気はない」
 酒に酔っているのに、急に冷静に判断しなくてもいいじゃないか。さっきまでの態度はなんだったんだよ――
 アルトダは涙目になって、赤面した。
「じゃあ……私はこんな辛いまま、兄さん達を見てなきゃいけないんですか」
「伍長が望んだんじゃないか」
 半ば呆れたように、カルナラは言った。シザークがカルナラの下で切なそうに息を吐き小さな声で求めた。
「カルナラ……はや、く」
 行為を再開させる為にシザークに向き直った時、アルトダが動いた。カルナラの後ろに向かう。
 片足はソファに、片足は床に膝をついて、不安定な格好でシザークを穿っていたカルナラは、弟が自分の真後ろに来た意味を捉えかねていた。
「伍……」
「陛下に触れるのも嫌。私に挿れるのも嫌。兄さんは結局、陛下の事ばかり」
「な」
に、言ってるんだ、これ関しては当然だろう、と言おうとするカルナラの剥き出しの尻をアルトダが撫でる。
「えっ?!」
 カルナラの身体がこわばった。
「あ……んっ、カルナラ……もっと」
 腰の辺りでシザークの熱さを感じて、止めそうになった動きを慌てて続ける。
 背後に居るアルトダが、身体を近づけてくるのがわかった。すぐそこに居る。密着しそうなカルナラの尻とアルトダの身体の体温で、そこの空気が上昇するように暖かい。
「伍長?」
「他に方法がないですもんね。私も散々興奮してますから」
 嫌な予感がした。
 ところが、カルナラが考えたようにアルトダは動かず、カルナラの股の間から手を差し入れ、カルナラとシザークが繋がった部分を指で撫でる。
「?!」
 驚くカルナラに、アルトダは冷静に言った。
「へえ、ここって、こんなに広がるんだ。すごいな。びっちり……隙間がない。それに」
「伍長! やめ」
「濡れるはずないのに、ホラ、なんで陛下の孔の周り、これ、何の液?」
 アルトダの中指と親指が、スライドするカルナラの硬い肉を握ったため、カルナラは奥まで突く事が出来なくなった。
「やっ……」
 急に浅くなった感覚に、シザークが悶える。
「離しなさい!」
「はい」
 意外にもすぐに返事をして、アルトダはその濡れた指を離した。その指をすっと、カルナラの尻に持っていき……
 そして。
 ためらいなく、無防備なカルナラの孔に指を差し入れた。
「い……っ」
 カルナラの動きが止まる。顔をしかめるカルナラに気づいて、喘ぎながらシザークが
「なに?」
と訊いた。答える前に、指がずぶずぶ何度も出し入れされ、カルナラは痛さに声を詰めた。
「陛下にはもう関わりませんから、兄さんにならいいですよね」
 指で孔を押し広げられる感覚がした。
 慌てて、振り向こうとカルナラが身体をよじると、アルトダは酔っているとは思えないしっかりした口調で言い放った。
「動かないで! 私、これは初めてですからね。痛くても許してください」
「伍長!」
 身体を起こそうとするカルナラの身体は、シザークが抱きしめていて離れない。
「シザーク、離して」
「えっ?」
「離しっ……あ!」

 突然指が抜かれた。と思ったら二つの爪の感覚がし、遠慮もなく押し入ってきた。
 身が二つに裂けるのではないかと思うほど痛い。
 先ほど離してくれといったシザークの体を逆に抱きしめ、痛みに耐えた。
 職業上、痛みには強いほうだが、鍛えられないデリケートな部分はさすがに弱い。
「アルトダ、お前……」
 カルナラの異変がアルトダによってもたらされたモノだとわかると、シザークはあきらめた様な口調で言った。正直、こんな状態でまた自分も放置されてもきつい。
「アルトダ、内側に前立腺があるから、そっちを刺激してやれ。そうすればよくなるから」
 アルトダは頷いて指で指示された場所を探った。
 押し入ると排除しようとする内壁が邪魔をするが、強引に進んだ。
「あ!」
 とある一箇所に触れると体に稲妻が走った。カルナラは下半身にマグマのような熱が溜まっていくのを感じる。
 後ろを攻められて少し勢いをなくしていたものが、徐々に復活していくのをシザークも感じる。先ほどより増した質量に喘いだ。もっと欲しくて自然と腰が動いてしまう。
「駄目だ。シザークも、う……ごかないで……」
 後ろを指で執拗に擦られ、前はシザークの腰の動きに翻弄される。
 二人から犯されているようだった。