トレモロ BL18禁

トレモロ60 限界

 傷つけないようにゆっくりと体を開き、シザークは満足そうに目を細めた。
「大丈夫か?」
「ハッ、アッ……」
 程良い締め付けだ。
 カルナラの表情も入れる時より悪くない。
 少し前にナスタを抱いたときとは違う、満ち足りた幸福感。

 やっぱりオレの相手はカルナラじゃないと駄目なんだな。

 シザークは改めて思った。

「アッ、アッ……シザーク」
「ん? 限界? こっちはもうピクピクしてるもんな」

 笑って自分とカルナラの間で揺れているものを擦る。
「ふぅ……くっ……」
「締め付けるとオレも出ちゃうよ」

 腰の打ち付けを強めると、肩に添えられた手に力が籠もり、必死に耐えているのが分かる。
 二人から出た潤滑油が、いやらしい音を立てて、二人を更に盛り上げていた。
 上気した顔を両の手で挟み、愛おしく口付けると、カルナラがシザークの名を呼んで体にしがみついてきた。
 清潔に切りそろえた爪が白いからだに若干の傷を付ける。
 全身がシザークの起こす、ちょっとの刺激に敏感になっていた。

「あはっ、イイ顔してんじゃん。入れられるのも意外とイイだろ?」
「ハッ……んぅ」
「なーんかわかるかも。カルナラがオレばっかり見ててなかなかイケなくなるってヤツ」
「シザー、ク……」
「愛してるよ。だからもっといろんな顔見せろよ」

 そう言ってシザークはカルナラを手で掴んだ。
「今日はオレより先にイケよ。何回でもイッていいからさ」

 先端を指の腹でグリグリと擦ると、カルナラが小さく呻きをあげる。
 後少し。カルナラは今にも爆発しそうだ。
 そのまま爪で尿道を刺激し、同時に後ろも攻めたてた。

「あ、待っ……」

 強い衝撃に目尻に涙が浮かぶ。
 その涙を指で拭ってシザークが笑った。

「その顔、反則……そんな顔されちゃ保たなくなるじゃんか」
「シ、ザークも一緒に……」

 息も絶え絶えに懇願されると、シザークは天井を見つめ、少し考えたような顔をする。

「……そうだな。一緒にイッてやるから、またこっちもさせろよ。次はお前を先にイかせてやるからさ」

 カルナラの答えを聞かずに腰を器用に使い、自分の快感を高めていく。
 先にイかないように手できつく戒めておくと、カルナラが我慢できずにシザークの手を払おうとしてくる。
 乾いた自分の唇を舐めながら
「限界? じゃあ一緒にイく?」
と、聞くと、カルナラはガクガクと何度も頭を縦にする。

 手の戒めを解き、上下に擦ると喘ぎとともに後ろが締まった。

「カ……ルナラッ……」
 快感に声を掠れさせ、カルナラの中に欲望を放出するのと、カルナラが自身の腹を濡らすのは本当に同時だった。
 荒い息のままどっさりと脱力し、互いの鼓動の早さを確認するように重なったのだった。


「カルナラ。大丈夫か?」
 シザークがカルナラの頬をそっとなでる。
「多少……いえ、かなりきつかったですけど、大丈夫です」
 二人は互いの鼓動が治まるのを感じながら、静かに抱き合っていた。
「さすがにもう、主役が会場から消えたままってわけにはいかないよな」
「そうですね」
「このまま寝たいとこだけど、そうもいかないし」
 そう言って、シザークが身体を起こし、カルナラのすぐ脇に座った。

「あ、そうだ」
 シザークがうっかり忘れかけていた事を思い出す。