トレモロ65 謎のコップ、そしてトマトか!
あまり、通じてなかったようだ。
「……私のアンテナが反応したようだ。……あっちか?」
男に指輪の捜索を任せていたナスタが、ソファから優雅に立ち上がり、部屋から出て行こうとする。
「ちょーっと待ってよ、ナスタさん! 指輪はどうすんの?」
「探しといてくれ。指輪の反応はさっきからすぐ近くでしてるから、お前が自分の身体の隅々まで探せば何か出てくるんじゃないのか?」
「えー? ちょっとナスタさぁーん! ……行っちゃった……なんか、今日の俺、いつも以上にぞんざいに扱われている気がする……クスン。身体の隅々ったって、俺持って……あぁぁぁぁ!」
ポケットに手を突っ込んだ瞬間、固い感触があり、引き上げると、ナスタが今までしていた弟の指輪が出てきた。
「お、思い出した。手を洗うときに預かったんだっけ……ナスタさーん! 見つけたよ! どこ行っちゃったんだよ」
男は長身を機敏に回転させて、ナスタの後を追っていった。
当然、シザークたちがついたときにはもぬけの殻。
他の部屋も探してきたカルナラと一緒に、盛大に脱力してみせた。
「誰のところに行ったと思う?」
「さ、さぁ……二手に分かれて探すほうが早いと思います」
「じゃあ……」
「私がフィズとアルトダ伍長のところへ。シザークが……タレン伍長のほうへ」
「お前ってば露骨……」
オクトの名前すらも発したくない、と言った様子のカルナラは、噴出すシザークの唇に、チュッと音を立ててキスをする。
「当たり前です。栄養補給のキスを頂きました。もう一頑張りしてきます。シザークもあともう一頑張りですよ」
もう一度、今度は深く唇を重ね、二人は散っていった。
カルナラが、人がほぼ居なくなった広間へ戻ってみると、フィズとアルトダの姿は無く、近くにある他の客間で指輪を探す二人を見つけた。
「あ? 違ったか……」
言ってから、自分の弟の事なのにと、若干、微妙な気分になりながら、カルナラは思った。
(それじゃあ、タレン伍長の方に行ったのか?)
考えているカルナラを、フィズが見つける。
「あれ? カルナラ? 指輪見つかった?」
カルナラがフィズ達に指輪の行方を説明しているまさにその時、オクトが三度 、タレンを押し倒していた。
「ちょっと待てよ! こんな事してる場合じゃないよ! それにさっき二回もやったじゃん! もう限界だ!」
ベッドに押し倒されつつも、ぐいぐいとオクトを引き剥がそうと試みて、タレンが叫ぶ。
「こんなチャンス、この後いつ廻って来るかわからないから、できる時にはしておこうかと思う」
飄々とした顔で言うオクトを足も使って蹴り剥がそうとしながらも、タレンは易々と押さえ込まれる。
「いい加減にしろー!」
そして案の定、その客間に、どこで調達してくるのか、コップを手にしたナスタが足音も立てずにひたひたと近づいていた。
「俺は真剣に陛下の指輪を探しているんだけど」
「僕は真剣にウォレスとセックスしたいんだけど」
オクトは考え出したら止まらない。
への字の口が自分に迫ってくるのを見て、タレンはギュッと目を瞑った。
しかし、いつまで経っても意外と柔らかい唇が、自分の唇をふさいでは来なかった。
うっすらと目を開けると、間近にオクトの顔があり、心臓が跳ね上がった。
悲鳴を上げようとしたところで、ようやく唇が塞がれ、それが飲み込まれる。
「ふ……ん」
口内でタレンの逃げる舌を追いかけていると、隣にあの気配を感じる。
「……私のアンテナが反応したようだ。……あっちか?」
男に指輪の捜索を任せていたナスタが、ソファから優雅に立ち上がり、部屋から出て行こうとする。
「ちょーっと待ってよ、ナスタさん! 指輪はどうすんの?」
「探しといてくれ。指輪の反応はさっきからすぐ近くでしてるから、お前が自分の身体の隅々まで探せば何か出てくるんじゃないのか?」
「えー? ちょっとナスタさぁーん! ……行っちゃった……なんか、今日の俺、いつも以上にぞんざいに扱われている気がする……クスン。身体の隅々ったって、俺持って……あぁぁぁぁ!」
ポケットに手を突っ込んだ瞬間、固い感触があり、引き上げると、ナスタが今までしていた弟の指輪が出てきた。
「お、思い出した。手を洗うときに預かったんだっけ……ナスタさーん! 見つけたよ! どこ行っちゃったんだよ」
男は長身を機敏に回転させて、ナスタの後を追っていった。
当然、シザークたちがついたときにはもぬけの殻。
他の部屋も探してきたカルナラと一緒に、盛大に脱力してみせた。
「誰のところに行ったと思う?」
「さ、さぁ……二手に分かれて探すほうが早いと思います」
「じゃあ……」
「私がフィズとアルトダ伍長のところへ。シザークが……タレン伍長のほうへ」
「お前ってば露骨……」
オクトの名前すらも発したくない、と言った様子のカルナラは、噴出すシザークの唇に、チュッと音を立ててキスをする。
「当たり前です。栄養補給のキスを頂きました。もう一頑張りしてきます。シザークもあともう一頑張りですよ」
もう一度、今度は深く唇を重ね、二人は散っていった。
カルナラが、人がほぼ居なくなった広間へ戻ってみると、フィズとアルトダの姿は無く、近くにある他の客間で指輪を探す二人を見つけた。
「あ? 違ったか……」
言ってから、自分の弟の事なのにと、若干、微妙な気分になりながら、カルナラは思った。
(それじゃあ、タレン伍長の方に行ったのか?)
考えているカルナラを、フィズが見つける。
「あれ? カルナラ? 指輪見つかった?」
カルナラがフィズ達に指輪の行方を説明しているまさにその時、オクトが
「ちょっと待てよ! こんな事してる場合じゃないよ! それにさっき二回もやったじゃん! もう限界だ!」
ベッドに押し倒されつつも、ぐいぐいとオクトを引き剥がそうと試みて、タレンが叫ぶ。
「こんなチャンス、この後いつ廻って来るかわからないから、できる時にはしておこうかと思う」
飄々とした顔で言うオクトを足も使って蹴り剥がそうとしながらも、タレンは易々と押さえ込まれる。
「いい加減にしろー!」
そして案の定、その客間に、どこで調達してくるのか、コップを手にしたナスタが足音も立てずにひたひたと近づいていた。
「俺は真剣に陛下の指輪を探しているんだけど」
「僕は真剣にウォレスとセックスしたいんだけど」
オクトは考え出したら止まらない。
への字の口が自分に迫ってくるのを見て、タレンはギュッと目を瞑った。
しかし、いつまで経っても意外と柔らかい唇が、自分の唇をふさいでは来なかった。
うっすらと目を開けると、間近にオクトの顔があり、心臓が跳ね上がった。
悲鳴を上げようとしたところで、ようやく唇が塞がれ、それが飲み込まれる。
「ふ……ん」
口内でタレンの逃げる舌を追いかけていると、隣にあの気配を感じる。