トレモロ35 先にイクか勝負の行方
いくら、ナスタは慣れていると言っても、シザークの方は初めてだ。
ナスタの腰を抱いたシザークは、ちゃんと入るのか不安を覚えながら息を詰めた。
ナスタがシザークの肩から手を外し自分の大腿の間から差し入れて、シザークのものを指で固定して襞 の入り口にあてがう。
小さな面積で触れる二人のそこは流石にまだどちらにも抵抗がある。
大きく息を吐いてシザークの先を飲み込もうとするナスタも苦しそうに顔を歪めた。
お互い、表面が引きつるような痛みが走った後に、熱く絡んでくるような湿度がシザークを覆う。
「あ」
締め付けられる熱い体温にねっとりと包まれながら、狭隘 な管 の中をゆっくり奥へ進む感覚がした。
「ナ……」
「黙ってろ」
どこまで入るのだろう。
急にシザークは、ナスタに自分の身体まで飲み込まれるのではないかとおののく。
ナスタは自分を慣らしながら徐々に腰を下ろし、もうシザークの腹に腰が密着する程になった時、動きを止めた。
はぁ、と長い呼吸を繰り返す。
「ぜ、んぶ入ったのか?」
初めて味わう、きつい違和感のある締め付けに目を片方ぎゅっと閉じて耐えながら、シザークが訊いた。
「いくら私でも、最初からは無理らしい」
「え」
「相手がお前だからだな」
「なに」
「多少、遠慮してるってことだ」
ナスタの額に汗がにじんでいる。ろくな前戯もなしに、なんて無茶をするんだろうとシザークは思ったが、口には出さなかった。
挿入した格好のまま睨むように色の違う瞳を見つめあい、二人ともじっと何かを待った。
ナスタの眉間から皺が消えて孔の緊張がゆるむのを、シザークは自分のそこで感じる。
「よし、慣れた。動くぞ」
「えっ?!」
シザークの戸惑いを余所に、ナスタは腰を動かし始めた。
ぐりぐりと開いた花を押し付けるかと思ったら、腰を浮かせて先だけを食む。大きなグラインドも上下の躍動も全てが巧い。
(なに、これ……)
シザークは翻弄されっぱなしだった。これでは下手だの何だのいわれても仕方ないと心底思った。
更なる快楽を求めて、シザークも動く。
「――くっ」
ナスタはあまり快感を声には出さない。が、表情にはその悦で溢れている。
「どうだ、入れるほうもいいものだろう」
「う……ん……気持ちいい」
ナスタの笑みは、いつもの余裕のあるものではなかった。少し優しげなそれに、シザークも素直に気持ちを吐露する。
「今度はカルナラにも突っ込んでやれ。男同士の場合、どちらも経験して一人前だからな」
そう言って深い口付けを受けた。
上顎のゾロリと舐めると、ナスタが首を仰け反らす。
露になったその白い喉元に噛み付くように、シザークは体勢を入れ替えた。
「思う存分やっていいぞ。終わったら次は私が突っ込むからな。倍返しにしてやる」
組み敷く野生の猫は不敵に笑った。
「じゃあ、次を考えられないくらいヤってやる」
いつになく強気にシザークは言い、腰を打ちつけた。
「ん……くっ、ヘタレに、満足など……できるか」
「じゃあ、そのヘタレに感じるな……つか、そんなに締め付けるなよ。動けねぇ」
「これしきで根を上げるのか、ヘタレが」
「ヘタレへタレ言うなよ! オレがヘタレなら、ナスタはヘタレの兄貴だからな!」
もはや意地の張り合いだ。ムードもへったくれもない。
「ナスタ、どっちが先にイクか勝負だ。オレが先にイったら何でもしてやる」
「ふん。その言葉、忘れるなよ」
(カルナラ以外もう誰もさせないって決めたし、第一オレはヘタレじゃない!)
(シザークに突っ込まれるだけで終わるなど、私のプライドが許さん!)
お互いの思惑はこうだった。
まず、最初に動いたのは現在攻めの位置にいるシザークだった。
手で大きくナスタを擦り、その律動に合わせて腰を揺らす。
受身のナスタは、下腹部に自分の負担にならない程度に力を入れ、孔を締め上げる。出入りこそ許すものの、それを迎える内壁はきつく、シザークは顔をしかめた。
お互い息は荒く、限界は当に見えているだろうに、意地が勝ってか根を上げない。
「イけよ、ナスタ」
「ごめんだな。お前こそさっさと私の中に出したらどうだ?」
「ずぇったいに嫌だ」
皮のソファベッドなので、お互いの汗や体液でべとべとして気持ちが悪い。
上にいるシザークでもそう思うので、風呂好きのナスタなどはその不快さに耐えるのもやっとだろう。
「ナスタ、立ってそっちの壁に手ぇついて」
「今度は立ってか。注文の多い奴だな」
「ここじゃ気持ち悪そうだから言ったんだよ」
一度ナスタから体を離し、シザークはナスタを導いた。
ナスタに手をつかせ、冷たい壁に上半身を預けさせると、シザークは再びナスタの中に分け入った。
(これなら出来るかもしれない)
自分を受け入れているナスタの部分を見てシザークは思った。
中指に唾液を絡め、少し前にカルナラにやられたことをナスタにする。自分を受け入れているところに、指を差し入れたのだ。
「クッ……」
ナスタは背中を緊張させた。
予想もしていなかったシザークの行動で、目尻に涙を浮かばせる。体が幾度も震え、双球が持ち上がる。
(もう無理だ)
そう思ったのはシザークも同じだった。
自分が指を差し入れたことで、ナスタの体が強張り、自分をこれまで以上にきつく締め付けたのだ。蠢 くよな収縮はシザークあっという間に飲み込む。
「――チッ」
屈辱のあまり、舌打ちをして精を吐き出したのは……
ナスタの腰を抱いたシザークは、ちゃんと入るのか不安を覚えながら息を詰めた。
ナスタがシザークの肩から手を外し自分の大腿の間から差し入れて、シザークのものを指で固定して
小さな面積で触れる二人のそこは流石にまだどちらにも抵抗がある。
大きく息を吐いてシザークの先を飲み込もうとするナスタも苦しそうに顔を歪めた。
お互い、表面が引きつるような痛みが走った後に、熱く絡んでくるような湿度がシザークを覆う。
「あ」
締め付けられる熱い体温にねっとりと包まれながら、
「ナ……」
「黙ってろ」
どこまで入るのだろう。
急にシザークは、ナスタに自分の身体まで飲み込まれるのではないかとおののく。
ナスタは自分を慣らしながら徐々に腰を下ろし、もうシザークの腹に腰が密着する程になった時、動きを止めた。
はぁ、と長い呼吸を繰り返す。
「ぜ、んぶ入ったのか?」
初めて味わう、きつい違和感のある締め付けに目を片方ぎゅっと閉じて耐えながら、シザークが訊いた。
「いくら私でも、最初からは無理らしい」
「え」
「相手がお前だからだな」
「なに」
「多少、遠慮してるってことだ」
ナスタの額に汗がにじんでいる。ろくな前戯もなしに、なんて無茶をするんだろうとシザークは思ったが、口には出さなかった。
挿入した格好のまま睨むように色の違う瞳を見つめあい、二人ともじっと何かを待った。
ナスタの眉間から皺が消えて孔の緊張がゆるむのを、シザークは自分のそこで感じる。
「よし、慣れた。動くぞ」
「えっ?!」
シザークの戸惑いを余所に、ナスタは腰を動かし始めた。
ぐりぐりと開いた花を押し付けるかと思ったら、腰を浮かせて先だけを食む。大きなグラインドも上下の躍動も全てが巧い。
(なに、これ……)
シザークは翻弄されっぱなしだった。これでは下手だの何だのいわれても仕方ないと心底思った。
更なる快楽を求めて、シザークも動く。
「――くっ」
ナスタはあまり快感を声には出さない。が、表情にはその悦で溢れている。
「どうだ、入れるほうもいいものだろう」
「う……ん……気持ちいい」
ナスタの笑みは、いつもの余裕のあるものではなかった。少し優しげなそれに、シザークも素直に気持ちを吐露する。
「今度はカルナラにも突っ込んでやれ。男同士の場合、どちらも経験して一人前だからな」
そう言って深い口付けを受けた。
上顎のゾロリと舐めると、ナスタが首を仰け反らす。
露になったその白い喉元に噛み付くように、シザークは体勢を入れ替えた。
「思う存分やっていいぞ。終わったら次は私が突っ込むからな。倍返しにしてやる」
組み敷く野生の猫は不敵に笑った。
「じゃあ、次を考えられないくらいヤってやる」
いつになく強気にシザークは言い、腰を打ちつけた。
「ん……くっ、ヘタレに、満足など……できるか」
「じゃあ、そのヘタレに感じるな……つか、そんなに締め付けるなよ。動けねぇ」
「これしきで根を上げるのか、ヘタレが」
「ヘタレへタレ言うなよ! オレがヘタレなら、ナスタはヘタレの兄貴だからな!」
もはや意地の張り合いだ。ムードもへったくれもない。
「ナスタ、どっちが先にイクか勝負だ。オレが先にイったら何でもしてやる」
「ふん。その言葉、忘れるなよ」
(カルナラ以外もう誰もさせないって決めたし、第一オレはヘタレじゃない!)
(シザークに突っ込まれるだけで終わるなど、私のプライドが許さん!)
お互いの思惑はこうだった。
まず、最初に動いたのは現在攻めの位置にいるシザークだった。
手で大きくナスタを擦り、その律動に合わせて腰を揺らす。
受身のナスタは、下腹部に自分の負担にならない程度に力を入れ、孔を締め上げる。出入りこそ許すものの、それを迎える内壁はきつく、シザークは顔をしかめた。
お互い息は荒く、限界は当に見えているだろうに、意地が勝ってか根を上げない。
「イけよ、ナスタ」
「ごめんだな。お前こそさっさと私の中に出したらどうだ?」
「ずぇったいに嫌だ」
皮のソファベッドなので、お互いの汗や体液でべとべとして気持ちが悪い。
上にいるシザークでもそう思うので、風呂好きのナスタなどはその不快さに耐えるのもやっとだろう。
「ナスタ、立ってそっちの壁に手ぇついて」
「今度は立ってか。注文の多い奴だな」
「ここじゃ気持ち悪そうだから言ったんだよ」
一度ナスタから体を離し、シザークはナスタを導いた。
ナスタに手をつかせ、冷たい壁に上半身を預けさせると、シザークは再びナスタの中に分け入った。
(これなら出来るかもしれない)
自分を受け入れているナスタの部分を見てシザークは思った。
中指に唾液を絡め、少し前にカルナラにやられたことをナスタにする。自分を受け入れているところに、指を差し入れたのだ。
「クッ……」
ナスタは背中を緊張させた。
予想もしていなかったシザークの行動で、目尻に涙を浮かばせる。体が幾度も震え、双球が持ち上がる。
(もう無理だ)
そう思ったのはシザークも同じだった。
自分が指を差し入れたことで、ナスタの体が強張り、自分をこれまで以上にきつく締め付けたのだ。
「――チッ」
屈辱のあまり、舌打ちをして精を吐き出したのは……