トレモロ17 弟の前で……
一度、口に出してしまうと、カルナラもしょうがないと思ったのか、案外ためらいもなく、露わになったアルトダのそれを撫で始めた。
意識をアルトダだけに集中しないように気を配っているらしく、シザークへの口付けも続ける。
唾液が絡まる。
音が響き始めた。
右手で弟を扱 いて、左手でシザークの後孔に指を滑らせる。
カルナラに触られて、半身が熱くてたまらないのに、すぐ目の前では、その兄が国王に愛撫を行っているのを、アルトダは不思議な感覚で見ていた。
「カ……カルナラ……もう……」
指だけでは疼きが止まらなくなったシザークがカルナラを求めた。
キスでそれに答えると、カルナラは器用に体勢を変え、シザークの体をソファに預けさせ、そのまま横向きに穿 った。
「ああああぁぁっ!」
途端にシザークは艶やかな声をあげる。その肉のきつさにカルナラは顔をしかめた。
二人の情事に中てられ、アルトダは益々興奮した。
シザークの甘い声はアルトダに後ろへの興味を沸かせるのに十分だった。
兄の太い指でいじられるとどうなるんだろう。想像するとたまらなくなってきた。体の芯がムズムズしてどうにかしてほしかった。
もう酔いは半分以上醒めていた。しかし酔っているだろう今しかこんな台詞は言えない。罪悪感はあったが、それ以上に今は欲望の方が強かった。
「こっちも……こっちも触って」
「いや……だ」
答えたのはシザークだった。快感に潤ませた目をアルトダに向け、はぁっ……とひとつ悩ましげな息を吐く。動かないで、と恋人に小さく言ってから話しはじめた。
カルナラはアルトダからも手を離した。その辺の布で手を拭う。
「ごめん。アルトダがカルナラのこと凄く好きなのは知ってた。でもオレだって同じくらい――いや、それ以上好きなんだ。お前に障ってると思うと気が狂いそうになるくらい好っ……ちょっ! カルナラ! いきなりデカくするな!」
男はでれっと悪びれもなく笑う。
「いや、シザークの言葉が嬉しくてつい……」
「『つい』じゃない! オレは真面目に話してるんだ!」
「生理現象に文句言われても私としても……」
繋がったまま言い合いをはじめるふたりに、アルトダは思わず噴出した。そして男らしく謝罪をして洋服をかき集めた。
「トイレにでもいって、その……ひとりでしてくるんで。お二人はごゆっくりどうぞ……」
照れくさそうに言ってから部屋からそそくさと出て行った。
ドアを閉めると、涙が一気にこぼれた。嗚咽が漏れないように唇をかみ締めた。
(やっぱり敵わないや)
いつの間にか『清掃中に付き立入禁止』の札がかかったドアを見て思った。
一方、中の二人はというと、
遠慮も無く続きを始めたらしく、ドア越しにシザークが喘ぐ声が聞こえる。
ドアに寄りかかり、うつむいて、その声を照れながら聞いていたアルトダは、自分のものの興奮が覚めないのを確認して溜息をついた。
自分で処理するのも情けない。
兄さんと陛下は、あんな声を上げるくらい気持ちのいい事をしているのに。大体、酒の勢いじゃなかったのか。なんで二人してイイ事してるんだよ……
シザークのアンアンと言う声を背中で聞いていて、段々アルトダは腹が立ってきた。
幾分、酒の抜けてきた頭だったが、まだいつもの思考力が回復しておらず、アルトダの考えが妙な方向に走る。
ガチャッと、遠慮なくドアを開けた。
ソファの上で、先程と同じ体勢でカルナラがシザークにのしかかっているのが見えた。
意識をアルトダだけに集中しないように気を配っているらしく、シザークへの口付けも続ける。
唾液が絡まる。
音が響き始めた。
右手で弟を
カルナラに触られて、半身が熱くてたまらないのに、すぐ目の前では、その兄が国王に愛撫を行っているのを、アルトダは不思議な感覚で見ていた。
「カ……カルナラ……もう……」
指だけでは疼きが止まらなくなったシザークがカルナラを求めた。
キスでそれに答えると、カルナラは器用に体勢を変え、シザークの体をソファに預けさせ、そのまま横向きに
「ああああぁぁっ!」
途端にシザークは艶やかな声をあげる。その肉のきつさにカルナラは顔をしかめた。
二人の情事に中てられ、アルトダは益々興奮した。
シザークの甘い声はアルトダに後ろへの興味を沸かせるのに十分だった。
兄の太い指でいじられるとどうなるんだろう。想像するとたまらなくなってきた。体の芯がムズムズしてどうにかしてほしかった。
もう酔いは半分以上醒めていた。しかし酔っているだろう今しかこんな台詞は言えない。罪悪感はあったが、それ以上に今は欲望の方が強かった。
「こっちも……こっちも触って」
「いや……だ」
答えたのはシザークだった。快感に潤ませた目をアルトダに向け、はぁっ……とひとつ悩ましげな息を吐く。動かないで、と恋人に小さく言ってから話しはじめた。
カルナラはアルトダからも手を離した。その辺の布で手を拭う。
「ごめん。アルトダがカルナラのこと凄く好きなのは知ってた。でもオレだって同じくらい――いや、それ以上好きなんだ。お前に障ってると思うと気が狂いそうになるくらい好っ……ちょっ! カルナラ! いきなりデカくするな!」
男はでれっと悪びれもなく笑う。
「いや、シザークの言葉が嬉しくてつい……」
「『つい』じゃない! オレは真面目に話してるんだ!」
「生理現象に文句言われても私としても……」
繋がったまま言い合いをはじめるふたりに、アルトダは思わず噴出した。そして男らしく謝罪をして洋服をかき集めた。
「トイレにでもいって、その……ひとりでしてくるんで。お二人はごゆっくりどうぞ……」
照れくさそうに言ってから部屋からそそくさと出て行った。
ドアを閉めると、涙が一気にこぼれた。嗚咽が漏れないように唇をかみ締めた。
(やっぱり敵わないや)
いつの間にか『清掃中に付き立入禁止』の札がかかったドアを見て思った。
一方、中の二人はというと、
遠慮も無く続きを始めたらしく、ドア越しにシザークが喘ぐ声が聞こえる。
ドアに寄りかかり、うつむいて、その声を照れながら聞いていたアルトダは、自分のものの興奮が覚めないのを確認して溜息をついた。
自分で処理するのも情けない。
兄さんと陛下は、あんな声を上げるくらい気持ちのいい事をしているのに。大体、酒の勢いじゃなかったのか。なんで二人してイイ事してるんだよ……
シザークのアンアンと言う声を背中で聞いていて、段々アルトダは腹が立ってきた。
幾分、酒の抜けてきた頭だったが、まだいつもの思考力が回復しておらず、アルトダの考えが妙な方向に走る。
ガチャッと、遠慮なくドアを開けた。
ソファの上で、先程と同じ体勢でカルナラがシザークにのしかかっているのが見えた。