トレモロ56 リバ開始
会場の前の階段を上がり、更に一番奥の小さめの客間に入ったシザークは、カルナラを部屋の奥へ誘導すると、ドアの鍵をガチャリと音を立てて閉めた。
「シザーク?」
「誰か来ても、やめないぞ」
「なにを? あ、セックスするんでしたっけ?」
「まぁ……そう」
「それは歓迎しますが、さっき、貴方、妙な事をおっしゃってたような」
「ちょっと責任感じてるからさ、あ、座れよ、カルナラ」
「はい」
急に色々な事があったせいなのか、酒の酔いがいまいち抜けきってないのか、カルナラはあっさり素直にシザークに従う。
一人用のこの客間にはソファが無いため、ベッドに腰かけるとカルナラは両手を後ろの方について、ふーっと息を吐いた。
「なんか、疲れた……」
「だろうな。衣装も重かっただろ? アレ、ずっと着けたまま、よく動いてたな」
シザークは静かにカルナラのすぐ隣に腰を下ろす。
「ええ。主賓のはずなんですけど、こんなに疲れる事だとは思いませんでした」
「じゃ、もう、後は寝てろ」
「寝る? あ、ここで?」
「いや、本当に眠るなよ。横になって動かなくていい」
「はあ」
「ホラ。靴脱いで」
「はい」
ベッド脇に靴を揃えて、カルナラは足もシーツに沈める。
「あ、楽だ」
普段、疲れたなどと決して言わないカルナラを、シザークは黙って見ていた。
そして、はて、このまま押し倒してもいいものかと迷い始める。
本音は、休ませてやりたい。
でも、さっきのカルナラの悩みが、このままずっと何日も引きずられてしまう可能性がある事も憂慮していた。
取りあえず、訊いてみる。
「カルナラ、気持ちよくなりたい?」
「はぁ?」
言ってしまった後で、シザーク自身、質問の仕方が違ったと思った。
「えーと、いつもオレばっかり気持ちよくさせてもらってるからさ」
「たまには、奉仕してくださるんですか?」
笑いながらカルナラはシザークを抱きしめようとした。
「……そう」
抗わずに、カルナラの両腕の中でシザークは答える。
「疲れてるお前は、寝てるだけ。オレが全部する」
「いいですね、それ」
「どうなってもいい?」
「いいですねぇ……どうにかなっちゃうまでしてくださるんですか?」
先程のフィズとの事もあって、カルナラの体はまだ火照りも冷めてはいない。
それに、シザークがフィズとの事を蒸し返さずに、体を繋げてくれるというなら、気まずさもそれで解消されるだろう。
「ああ。だから、オレが何しても、怒らないよな」
「何しても?」
「そう。いっぱい、色々しても」
「ははは。いいですよ」
「その言葉、撤回するなよ」
二人分の体重を受けて、ベッドが軋む。そんなのも関係なさそうに二人は過ごしている。
「じゃあさ、服脱いで楽な体勢でいてよ」
シザークは自分のシャツのボタンを外しながらカルナラに言った。
その通りにシャツとスラックスのみの姿になってベッドに体を投げる。泥のように重いからだを上質のベッドが優しく労ってくれた。
「本当にオレに任せてくれる?」
「ええ、勿論」
キスにうっとりとしながら二人はもう一度確認しあう。
「カルナラは舌 使うなよ」
翻弄されそうになり、慌ててシザークが言った。
「お前は寝てるだけ、だろ?」
「そうでしたね」
体で十字架を作るように腕を横にする。
「そう、そのままにしてろよ」
ボタンを外すと、引き締まったからだが現れる。
いつもは縋りつくだけの胸。
うっとりとその肌を撫で、頬を寄せ唇を這わす。
「ここ、キスマーク」
上書きするように、赤い内出血の痕を吸う。
カルナラが息を呑む、その動作にシザークの下半身が硬くなるのが分った。
(ヤバイ、もう挿れてほしくなっちゃった……オレがカルナラにしてやりたいのに、最後までしてやれるのかな)
シザークは不安なのを悟られないようにリードを続けた。
「シザーク?」
「誰か来ても、やめないぞ」
「なにを? あ、セックスするんでしたっけ?」
「まぁ……そう」
「それは歓迎しますが、さっき、貴方、妙な事をおっしゃってたような」
「ちょっと責任感じてるからさ、あ、座れよ、カルナラ」
「はい」
急に色々な事があったせいなのか、酒の酔いがいまいち抜けきってないのか、カルナラはあっさり素直にシザークに従う。
一人用のこの客間にはソファが無いため、ベッドに腰かけるとカルナラは両手を後ろの方について、ふーっと息を吐いた。
「なんか、疲れた……」
「だろうな。衣装も重かっただろ? アレ、ずっと着けたまま、よく動いてたな」
シザークは静かにカルナラのすぐ隣に腰を下ろす。
「ええ。主賓のはずなんですけど、こんなに疲れる事だとは思いませんでした」
「じゃ、もう、後は寝てろ」
「寝る? あ、ここで?」
「いや、本当に眠るなよ。横になって動かなくていい」
「はあ」
「ホラ。靴脱いで」
「はい」
ベッド脇に靴を揃えて、カルナラは足もシーツに沈める。
「あ、楽だ」
普段、疲れたなどと決して言わないカルナラを、シザークは黙って見ていた。
そして、はて、このまま押し倒してもいいものかと迷い始める。
本音は、休ませてやりたい。
でも、さっきのカルナラの悩みが、このままずっと何日も引きずられてしまう可能性がある事も憂慮していた。
取りあえず、訊いてみる。
「カルナラ、気持ちよくなりたい?」
「はぁ?」
言ってしまった後で、シザーク自身、質問の仕方が違ったと思った。
「えーと、いつもオレばっかり気持ちよくさせてもらってるからさ」
「たまには、奉仕してくださるんですか?」
笑いながらカルナラはシザークを抱きしめようとした。
「……そう」
抗わずに、カルナラの両腕の中でシザークは答える。
「疲れてるお前は、寝てるだけ。オレが全部する」
「いいですね、それ」
「どうなってもいい?」
「いいですねぇ……どうにかなっちゃうまでしてくださるんですか?」
先程のフィズとの事もあって、カルナラの体はまだ火照りも冷めてはいない。
それに、シザークがフィズとの事を蒸し返さずに、体を繋げてくれるというなら、気まずさもそれで解消されるだろう。
「ああ。だから、オレが何しても、怒らないよな」
「何しても?」
「そう。いっぱい、色々しても」
「ははは。いいですよ」
「その言葉、撤回するなよ」
二人分の体重を受けて、ベッドが軋む。そんなのも関係なさそうに二人は過ごしている。
「じゃあさ、服脱いで楽な体勢でいてよ」
シザークは自分のシャツのボタンを外しながらカルナラに言った。
その通りにシャツとスラックスのみの姿になってベッドに体を投げる。泥のように重いからだを上質のベッドが優しく労ってくれた。
「本当にオレに任せてくれる?」
「ええ、勿論」
キスにうっとりとしながら二人はもう一度確認しあう。
「カルナラは舌 使うなよ」
翻弄されそうになり、慌ててシザークが言った。
「お前は寝てるだけ、だろ?」
「そうでしたね」
体で十字架を作るように腕を横にする。
「そう、そのままにしてろよ」
ボタンを外すと、引き締まったからだが現れる。
いつもは縋りつくだけの胸。
うっとりとその肌を撫で、頬を寄せ唇を這わす。
「ここ、キスマーク」
上書きするように、赤い内出血の痕を吸う。
カルナラが息を呑む、その動作にシザークの下半身が硬くなるのが分った。
(ヤバイ、もう挿れてほしくなっちゃった……オレがカルナラにしてやりたいのに、最後までしてやれるのかな)
シザークは不安なのを悟られないようにリードを続けた。