Birthday eve BL18禁

 『Sweet Surrender』 のシリーズもの



「明日は休みだー」
 大きく伸びをしながら、シザークはソファに背を預けた。
「ここのところ多忙でしたからね。明日はゆっくりと体を休めてください」
「いいの? オレだけゆっくりしちゃって」
 ソファの背から顔だけを逆さにして、カルナラを見る。
「ほら、頭に血が上りますよ。私は仕事ですし、一緒にいて差し上げられないので……」
 紅茶をテーブルに置くと、カルナラは一緒に包みを置く。
「まだ時間は早いんですが、これを……」
「カルナラ?」
「お誕生日でしょう、明日は。何がいいか考えたんですが、どうしても実用的なものしか思いつかなくて……」
「開けていい?」
「もちろん」
 はにかみながら頷くカルナラから手渡してもらい、リボンを解く。
 箱の中に納められていたのは、見ただけでも上質と分るバスローブだった。
「ホント、実用的。ありがとう」
 手に取ると、ふんわりと柔らかい。思わず頬擦りをすると、その感触にホッとする。
「最近よく訪れる仕立て屋に行って、あなたのために作らせたんです」
「オートクチュール?」
「ええ、手縫いでお願いしました」
「高かったろ?」
「値は張りましたが、私個人でも満足するものになりましたから、むしろ安いほうだと思います」
「へぇ……」
 広げると確かに自分の身長や袖丈にぴったりだ。
「色も何色にしようかと悩んだんですが、シザークには白がよく似合うと思って……」
「うん、ありがとう。オレも白は好きだから、似合うって言ってもらえると嬉しいな。……ん? これ……?」
 襟首のところがやたら重いので、重なっている布をひっぱると、同色のフードがくっついている。
「実用的、と言ったでしょう?」
 首をかしげるシザークにカルナラは笑った。
「ほら、あなたはいつも頭を拭かないから。……私がそばにいれば拭いて差し上げますが、いないときはこれを被れば……シザーク?」
「子ども扱いするなよ」
 ふくれっ面でシザークが再びソファに背中を預けると、「あぁ」と合点し、カルナラはまた微笑った。
「癖なんでどうしても……。以前にも言いましたが、あなたの世話を焼くのは私の特権の様な気がして、誰にも譲りたくないんです。シザーク、あなた自身にも」
 シザークの隣に腰を下ろし、肩を抱くと、金色の頭がコツンと胸に置かれる。
「これがお前の代わり?」
「ええ……」
 最近のカルナラの我が侭は子供っぽい。
 しかし、それだけ距離が近付いたようで、とても嬉しかった。
 胸から震える声を聞き、シザークは溜息を付いた。
「しょうがないな。これからは毎回被るよ、これ」
「そうしてくだされば、ありがたいです。あ、でも、私がいるときは不要ですからね」
「はいはい」
 カルナラが何か言いたそうだったが、シザークは首に手を絡めて言葉を遮った。
 伸びてきた髪の毛を掻き分けて、暖かな素肌に触れると、唇が近付いてくる。
「ん・・・…」


 最初はソフトに啄ばむ唇が、次第に大胆に食いついてくると、そこからはもう言葉はいらないはずだった。
 鼻にかかった声も、仄かに上気する頬も全てカルナラのモノになるはずだった。


「ふは……」
 脳に酸素をたっぷりと送り込みながらシザークが言う。
「誕生日プレゼントって、それだけ?」
「え? 他に何か欲しいものが?」
 弱ったな、と言った体でカルナラが頭に手をやると、シザークはにやりと笑う。
「誕生日のプレゼントは私です、とかってやんないの?」
「シ……シザーク!?」
 まさか、とか、もしや、とか言う言葉が頭の中でグルグルとうずを巻いている。
「いや、だって私は明日仕事ですし……」
 約束は次の日が休みの日だけだ、とカルナラが引き攣った笑顔で言うのだが、
「いい忘れてたけど、明日お前休みだから。たまにはお前以外に国王の権限つかわなきゃな」
と、極上の笑みをシザーク浮かべるのである。
「休みなら、問題ないだろ? ん?」
「いや……だって心の準備が……」
「そんなのゆっくりしていけばいいじゃん」
 制服のボタンを外され、カルナラは涙目だった。



「は…んッ……」
 声を聞かれるのは恥ずかしく、どうしても手で口を覆ってしまう。
 自分の股間を金色の髪が上下する姿はとても扇情的で興奮するが、後ろの窄まりを同時に弄られると、どうしても素直に感じることができない。
 シザークはそれが気に入らないようで、意地になって私の声を聞こうとする。
 弱い尿道の部分や、裏筋の部分を指や舌で嬲られると、吐息と共に声が漏れる。
「ここ、好きだよね」
 笑みながらソコを念入りに擦られると、ググッと睾丸があがる。
「シ…ザーク……」
「まーだ、ダメ。最近慣れてきたって言っても、もう少し解さないとキツイぞ」
 ローションを増やされ、指を増やされ、ギュッと私自身をもう一方の手で締め付けながら、後ろを指で蹂躙していく。
 自分にされていることを思い出しながらなのか、攻め方は私と似ているような気もする。
 緩急つけて出し入れしたり、捻ったり、納めたまましばらくそのままにしたり、波に翻弄されながらも、どこか冷静になっている自分がいる。
 意識を飛ばさないように、必死なせいだろうか。
 何もかも忘れて快楽に溺れてしまえば、きっと我に返った後に後悔したり、シザークの視線に耐えられなくなったりするだろうから、私も必死だ。
「んんっ……」
 指をスパッと抜かれて、その衝撃にシーツを掴んだ。
 すぐさまシザークが自身を押し当てて、私の膝を折る。
「悪い、お前のその悩ましげな顔を顔見てたら限界」

 グッと入り込む圧迫感。
 これにもまだ慣れない。
 一度落ち着けば随分と感じるほうになったと思うが、最初のこの瞬間は苦手だ。
「きっつ……」
 目を細めるシザークの顔。
 抱かれているときとは違う、悦楽の顔だ。
「あんまり締め付けんなよ、すぐイッちゃうから……」
 へらりと笑って腰を進めてくる。
 全部納めてから、ハァ…と一息ついた。
 その顔が色っぽくて、抱かれているのに、抱いているような気分になる。
「ね、上乗ってよ」
「いぃ? え? 無…理」
「いいじゃん。自分で動いてよ」
「でっ、でも……」
「デモなんだよ」
 唇を尖らせる顔は昔と変わらない。
 しかし、今はそんな感慨にふけている場合ではない。
「その…どう体重をかけたらいいかとか、ちょっと……」
「んなのは、慣れだよ慣れ! 何度も言わせるな!」
 強引に体勢を入れ替えられ、私は主の上に跨り、腰を沈めさせられた。




 この体勢だと、オレが犯されてる気分になるな。
 強引に上に乗せたものの、見下ろされる立場になると、なんとなく先ほどとは気分が違う。
 女ならば目の前に揺れる乳の動きに気分が高揚するものだが、生憎カルナラにはそんなものはない。
 あるのはアレだけだ。
 オレの肩の脇に、それぞれ両手をつき、カルナラは自分の重みで生まれる衝撃に必死に耐えていた。
「辛い?」
 自分でそれを強いたのに、表情が辛そうでつい声をかける。
「あ…は、い……」
 肩で息をするカルナラの背を引き寄せて、自分に体重をかけさせると、尻の肉をグイっと掴んだ。
 その瞬間キュッと孔が窄まって、思わず漏れそうになる。
 オレはそれを耐え、腰を緩やかに動かし始めた。
 やっぱり重いな……。
 でもこうすると、カルナラが少しは楽だろうかと思うと、つい我慢してしまう。
 愛って凄いよな、うん。
 何度か出し入れしていると、この角度の締まりの良さに気付く。
 自分でもそうなのだからカルナラはもっとだろう。
 息の荒いカルナラに口付けし、「出そう」と言うと、カルナラはギュッと瞑っていた瞳をうっすらとあけた。睫に涙の雫が何滴か付いてのを見つけた。けれど、それは苦痛ではなく、快楽の結果だろう。
「ん? まだイけない?」
 熱い息を漏らすカルナラを握ると上下に扱く。
「んっ…あぁ……は…ン…」
「擦ればイけそう?」
 首を落とすカルナラの手を取り、自身を握らせて意地悪く言ってやる。
「自分でして、オレはこっちに集中するから」
「シザ……クッ」
 言いたげなカルナラの体の最奥に突き上げ黙らせると、オレは行為に集中した。
 チラリと見ると、手は動いている。
 やっぱり出しちゃったほうが楽だもんな、と思いながら、エロいカルナラを観察した。
 視覚の効果とは恐ろしいもので、どんどんとオレの限界が近付いてくる。
 カルナラが自分でしてるのを見ながらってのが、まずい。
「もう、イっていい?」
「私も……」
 遅漏気味のカルナラも、前と後ろに受ける同時の刺激には弱いようだな。
 スライドを強く深くすると、間に挟まれたカルナラが何度も震えた。
 それに促されるように、オレも爆発する。
「あああぁ……」
 カルナラの熱いモノが腹を濡らす。
 一汗かいたから、熱いシャワーが気持ちよさそうだ、と思いながらオレは脱力した。



 先に体を起こしたのはカルナラのほうだった。
 しかし、足に力が入らず、座り込んだまま動けなかった。
「大丈夫か? もう少し寝てたら?」
「あぁ、はい……」
 カルナラの膝に顎を乗せて、シザークが瞳を閉じる。
「早くあなたがのあのバスローブに袖を通した姿がみたいな……と思って」
 柔らかな髪の毛を撫でながら、カルナラが笑う。
「体ベタベタだから、早く風呂も入りたいけど、もう少しだけこうしてもいたい」
「じゃあ、もう少しだけこうして、それから一緒にバスに行きましょうか」
「……だな」
 

 しばらく他愛のない会話を楽しみ、ようやく復活した二人は、今度はのんびりと温かい湯を掛け合った。
 洗い立ての体を優しく包むのは、件のバスローブだ。
 今まで使った中でも一番自然で心地よい。
「カルナラ、これ凄く気持ちいい……ってソレ」
 色違いのフード無しのものをカルナラも身につけていた。
 少し罰の悪そうな顔でミネラルウォーターの入ったグラスを手渡すと、茄子紺色の前身頃を引っ張った。
「仕立ての段階で、どうしても自分でも欲しくなって…作っちゃいました」
 自分のは弟子の作だから、シザークの物よりは劣るんですが、と付け足す。
「……それよりも、明日は本当に私は休みになるんですか?」
「別に仕事に行きたけりゃ行けば? 朝までガンガンやるから立てれば、の話だけどさ」
「いぃ?!」
 グイっとグラスを煽り、シザークはすでに及び腰のカルナラに言う。
「お前 自分が上のときは容赦なくやっといて、下の時は一回で終わりなんて都合のいい事言うなよな、カルナラくん」


 シザークには敵わない。逆らえない。
 うっと言いよどんだまま、カルナラは着込んだばかりのバスローブの帯を解かれた。



〜END〜

07/11/22




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