family ties

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「先に悪いかなと思ったんだけど、オレは時間取りにくいんで、さっきアルトダと少し話して来た」
「え?」
 両開きの窓を閉めてカルナラが振り向くと、シザークが真面目な顔をしてソファに腰掛けるのが見えた。
「何かあったんですか?」
「いや、なんか……」
 口に手を当てて言いにくそうにするシザークに、カルナラは不安を覚えた。
「シザーク様に失礼な事を?」
「えっ? 違う違う。お前、最近アルトダに会ってないだろ?」
「はい」
「なんかさ、雰囲気が違うんだよ。前と」
「はい?」
「どうもオレの中のアルトダのイメージって、こう……ちょっとオドオドしてるというか、大人しくて控えめで」
「ええ。え? 違うんですか」
「違うも何も。ありゃ、自信ついたって感じ。すごくハキハキしてるんで、戸惑ったというか、とにかく驚いたんだ」
「……」
 カルナラは、シザークの隣にゆっくり座った。
「わかんないもんだな。結婚するからなんだろうなぁ。人って変わるもんだ」
 感慨深そうに言うシザークを、カルナラは複雑な思いで見ていた。

「で、本題。オレとお前の事をさ、認めて欲しいって言ったよ」
「え?」
「本当、今更かよって」
 シザークは、屈託なく笑う。
 彼の直球勝負な行動に、半ば感心しつつ、半ば呆れながら、カルナラは黙っていた。

「アルトダが何て答えたか、聞きたい?」
「いえ」
 ニヤっと口の端を上げるシザークに気づいて、カルナラはさも興味のなさそうなふりをした。
「またまたー。カルナラくんてば」
 シザークがカルナラに抱きついて絡まり始めた。
「聞きたいくせに。気になるだろ? な? お兄さん」
 抱きついたまま耳元でわざと意地悪そうに言うシザークから、出来るだけ顔を離してカルナラは言った。
「だから、伍長に会えって、続くんでしょ? 貴方の言葉は」
「わかってんなら、素直になれよー。お兄さん」
「お兄さんって言うの、やめて下さい」
「言われた事ないだろ?」
「無いですよ」
「カルナラ兄さーん」
 完全にふざけているシザークを、カルナラはソファに押し倒した。
 こめかみに血管を浮かせて、シザークの肩を押さえる。
「シザークもナスタ様に兄さんなんて言わないじゃないですか」
「いやーん、カルナラ兄さん、怒ってる?」

 まだ言うか。
 ムッとしたカルナラは、なよっと身体をひねって妙な声を出すシザークの口を左手で押さえた。
「む゛っ?」
 シザークがカルナラのその手のひらを舐める。
 くすぐったさに咄嗟に手を離しそうになるのを堪(こら)えて、カルナラは顔をぐいっと近づけて言った。
「そういうのがお好みでしたら、やってみましょう」
「?」
「私をからかったお仕置きです。これから、貴方を抱きますから、最中は私の名前でなく兄さんと呼びなさい」
「ばぁ゛?!」
 有無を言わさず、カルナラは、口は押さえたままシザークのベルトを緩めファスナーを下ろすと、シザークの前を手で握って軽く上下させ始めた。
「ンンンンっ!」
 シザークがカルナラの両手を離そうともがく。
 どうすれば感じるか充分に知っているその手が、シザークを見る間に勃起させる。






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Update : 2007/07/15