family ties

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「んーっ!」
「兄さん、でしょ」
 少しからかうような口調のカルナラに、シザークはブンブン頭を振って拒否しようとするが、口を押さえつけられていて思うように動かせない。
 カルナラの動いている右手に持っていったシザークの片手は、努力空しく彼の手を握るだけに終わっていた。
 すると、痺れたような感覚が、ふっと無くなる。
 カルナラが口を押さえている方の中指と薬指の間を少し開いて、右手の指を三本、叫ぼうと開けたシザークの口に突っ込んだ。

「?!」
 口内の上側を指で擦られ、ぞくっとして思わず口を閉じた。カルナラは指を出し入れして、シザークの唾液を塗りつけていく。
「ウんっ、んっ」
 指が充分に濡れた事を確認すると、カルナラは狭いファスナーの間からシザークの後孔を探り当て、ゆっくり指を一本挿入した。
「!」
 まだ脱がされていないので、後ろに回されたカルナラの腕の体積分、下半身が窮屈になる。
「やっ……ぁ゛」
 カルナラの長い中指で部分的に刺激を与えられると、シザークの腰が浮いた。
「んんっ」
 すぐに指が増やされる。
 露わになったままの前からは、既に先端から透明な液が溢れ、後ろで動くカルナラの手に合わせたようにビクビクと上下していた。
「呼んでみて、ホラ」
 涙で潤んだシザークの目に口付けて、カルナラはまだ意地悪く強要する。
 左手をゆっくり口から離すと、シザークの唾液がカルナラの指と手のひらを湿らせ、短く糸を引いていた。

「あ……はぁ」
「ほら。呼んで」
 後ろを弄られて、シザークの思考が普通でないのをいい事にカルナラは続ける。
「カ……」
「ん?」
 目を完全に閉じて、快感に身体を委ね、シザークがつぶやいた。
「兄さ……ん」
「ちゃんと」
「……もっと。兄さん」
 シザークの発する言葉の違和感に、カルナラはやはり妙な気分だった。
 そして、自分の馬鹿さ加減に呆れる。

 いくら幼い頃から一緒に育ったと言っても、兄さんは自分ではない。
 子どもの頃はシザークに何度も、兄のように慕われている事は聞かされて来たが、シザークが兄さんと呼ぶべきなのは、彼――ナスタだけだ。
 シザークがナスタに抱かれているつもりになっているなら、こんな不愉快な事はない。

 それに自分はアルトダに兄さんと呼ばれたいのかどうかも、はっきりしない。
 結局、曖昧な自分がお仕置きされてるじゃないか――
 どうも最近、アルトダの事になると、やはりいつもとは違っている自分に気づく。
 シザークが言うように、会って話をした方がいい。そう結論が出た。

「あ……なに?」
 カルナラの動きが鈍り、シザークの意識が少しはっきりした。
「もういいですよ。後は私の名前で」
「え?」
 軽く荒げた息を吐くシザークに深くキスをする。舌を絡めると再び、シザークの喘ぎが紡がれた。
 カルナラはシザークの下を脱がして足を高く持ち上げると自分の肩に乗せ、両手の親指でシザークの孔の入り口をグっと広げた。
「大丈夫かな……まだ二本しか入れてないけど」
「うん。いいから。早く欲しい」
 シザークの声でそんな事を言われると、急に正常な判断ができなくなる。
 少しはほぐれて唾液で濡れたそこを 指で更に広げるようにしながら、ゆっくりと自分を入れ進めて行く。
 抵抗が大きい先の部分がなんとか入ると、少しずつ入るだけ奥まで入れて行った。
 出来るだけ負担のないよう静かにスライドさせながら、シザークの反応を見た。

「ああ……カルナラ。ん……いい……」
 息を詰めるシザークの声が苦痛ではなくなったのを聞いて、後はいつものように、激しい交わりがしばらく続いた。






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Update : 2007/07/16